裏窓

店舗イメージ

公開日 1955/01/29  113分


★★★★★★★ 7.0


昔々、映画館でリバイバル上映を観た時の印象は今も鮮烈だ。
いかにもセット然とした画面なのに奥行きも広さもある。
裏窓から見えるアパートへ忍び込むには塀を乗り越えて行かなければならないし、アパートの向こうの道には車も走っている。
この一種奇妙で独特な色調で枠取られた空間に映し出される展開に釘付けになるのだ。

他所を覗く、盗み見るという犯罪的な行為を自然に感じさせる設定が巧い。
たとえ裏窓といえども、おそらく実際にこのようなドラマティックなことを次々と目撃できることはないだろう。
足を骨折したカメラマンが窓から覗くことになった近隣の生活。
この何気ない導入部分さえ観客にとっては、誰が被害者となるのかというスリルを味わえる。
ミス・グラマー、ミス・ロンリーハートなどと名付けながら、アパートを窺う主人公の少しスケベで優しい視線が、観客と同一視線となるべく共感を呼ぶ。

本作にインスパイアされた『ディスタービア』は既に映画史から消えかかっているが、オリジナルはいまだに燦然と輝く名作だ。
ヒッチコック作品の中でも、何度も観たいと思わせる後味の良い作品でもある。
単なるハッピーエンドではなく、おそらく今後にも男女の波乱が予想されるカップルなのだが、それさえも作品全体のユーモアに包まれたサスペンス作品だ。
しかも、グレース・ケリーのゴージャスな美しさと言ったら!

原題  REAR WINDOW

製作国 アメリカ
製作 パラマウント Paramount Pictures
製作 Alfred J. Hitchcock Productions
配給 パラマウント Paramount Pictures

監督 アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作 アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作 ウィリアム・アイリッシュ William Irish
脚本 ジョン・マイケル・ヘイズ John Michael Hayes
撮影 ロバート・バークス Robert Burks
音楽 フランツ・ワックスマン Franz Waxman

出演 ジェームズ・スチュワート James Stewart
出演 グレイス・ケリー Grace Kelly
出演 レイモンド・バー Raymond Burr
出演 セルマ・リッター Thelma Ritter
出演 ウェンデル・コーリイ Wendell Corey