
公開日 2013/10/11 102分
寡作のくせに作品にムラがある印象のダニー・ボイル。
オスカー受賞とインド資本で話題になった『スラムドッグ$ミリオネア』だが、商業的な失敗が多い(売れない)ことから米英資本を得ることができなくなっていたのではないかと思う。
とはいえ、最近は『スラムドッグ$ミリオネア』『127時間』、ロンドン・オリンピック開幕式の演出と、コンスタントに話題も評価も集めてきている。
特にロンドン・オリンピックでは、007風の演出の中で女王陛下をスカイダイビングさせてしまう映像には度肝を抜かれた。
そして今回は、盗んだ絵画の在りかを記憶喪失してしまうというクライム・サスペンスだ。
ただ忘れてしまったというコメディ的な発想ではなく、無くした記憶、無くしたことさえ思い出せない記憶や深層心理の究明が入り乱れて、予告編の通り、「僕は誰だ」「君は誰だ」「僕は何をした」の状態にまで至る。
敢えて観客を混乱させる演出も相まって、どこまでが現実かが判らなくなる。
実は鑑賞後も辻褄が合わない点が幾つもある。
絵画が最終的に手に渡ったのはいつなのか?とか、赤いアルファロメオは実在するのか?
それを運転していた娘は?とか、だ。
もう一度観ればクリアになるのだろうか。
予備知識なしに観たほうが面白いのに、一度の鑑賞では全体を把握しづらいという厄介な作品である。
「人の生命は芸術より重い」や、盗まれた名画「魔女の飛翔」など、伏線も効果的だ。
比較的短い上映時間ではあるが、詰め込まれているテーマは盛りだくさんで、犯罪劇、恋愛劇、復讐劇と色合いは転じる。
主役はジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソンという魅力的な3人。ほぼこの3人だけで物語は進む。
結局、人間を形作っているのは記憶なんだなと思う。
記憶が行動を決めるのだ。
ストーリーを完全に把握しきらないと気が済まない人には向かないかもしれない。
原題 TRANCE
製作国 アメリカ
製作国 イギリス
製作 Pathé Renn Productions
製作 Cloud Eight Films
製作 Decibel Films
製作 Film4
配給 20世紀フォックス映画20th Century Fox
監督 ダニー・ボイル Danny Boyle
製作 クリスチャン・コールソン Christian Coulson
製作総指揮 バーナード・ベリュー Bernard Bellew
製作総指揮 フランソワ・イヴェルネル Francois Ivernel
製作総指揮 キャメロン・マクラッケン Cameron McCracken
製作総指揮 テッサ・ロス Tessa Ross
製作総指揮 スティーヴン・M・レイルズ Steven Rales
製作総指揮 マーク・ロイバル Mark Roybal
脚本 ジョー・アハーン Joe Ahearne
脚本 ジョン・ホッジ John Hodge
撮影 アンソニー・ドッド・マントル Anthony Dod Mantle
プロダクションデザイン マーク・ティルデスリー Mark Tildesley
編集 ジョン・ハリス Jon Harris
音楽 リック・スミス Rick Smith
出演 ジェームズ・マカヴォイ James McAvoy
出演 ヴァンサン・カッセル Vincent Cassel
出演 ロザリオ・ドーソン Rosario Dawson