
公開日 2012/02/17 135分
嫌な気分にさせるNo.1かもしれないラース・フォン・トリアー作品。
な訳で当分敬遠していたのだが、珍しくSFな内容に期待してしまった。
メランコリアとは地球に衝突する小惑星で、かなり絶妙なネーミングだと思う。
だがやはり、この作家の傾向は変わらない。
病的とさえ思える悲観的な内容だ。
豪邸を舞台にした結婚式が描かれるのだが、新郎新婦を乗せた大型リムジンが狭い道を通れずに2時間の遅刻をするところから幕を開ける。
作品に終始流れるイライラ感はここから始まる。
後には、そもそも"時間"にさえ意味があるのかと思うほどの絶望感に至るのだが。
結婚式を描きながらもハジけた雰囲気は薄く、このギャップが狙い目なのだろう。
物語はトリアー得意のパート構成になっており、パート1が結婚式を迎えた妹。
パート2がそれを世話する姉が描かれる。
地球が、すべての生物が滅ぶと予知している妹、それに対して、特殊な能力などなく、ごく普通の感覚の姉。
すべてが近いうちに無に帰すると分かっている妹は、期せずして、その存在自体が無だと評される。
何も持たないことがコピライターの才能であると。
この絶望観が、一見意味不明で論理一貫しないワガママな行動の由縁なのだが、それが理解されるまでにまず、この行動に相当にイライラする。
この妹と、その姉夫婦との対比が最後まで際立たされて描かれる。
人類滅亡という壮大なスケールの話を背景にしながらも、数人の家族に絞った展開が新鮮だ。
物語は次第に、すべての終末=死が明らかになるにつれ、最も常識ぶった姉の夫が、真っ先に崩壊する。周囲を慮ることもなく。
そして、常に周囲に受け入れられない妹の絶望感は、終末が明らかになるにつれて、いつしか希望のようなものに変わっていく。
脆いのは男達というのも、いかにもトリアーらしい。
だが全体的に厭らしいアクは薄い。
「地球は邪悪」なのか。
気分を落ち込ませたい時があればオススメな作品。
原題 MELANCHOLIA
製作国 デンマーク
製作国 スウェーデン
製作国 フランス
製作国 ドイツ
製作 Zentropa Entertainments
製作 Memfis Film
製作 Zentropa International Sweden
製作 Slot Machine
製作 Liberator Productions
製作 Zentropa International Koln
配給 ブロードメディア・スタジオ
監督 ラース・フォン・トリアー Lars von Trier
製作 ミタ・ルイーズ・フォルデイガー Meta Louise Foldager
製作 ルイーズ・ヴェス Louise Vesth
製作総指揮 ペーター・オールベック・イェンセン Peter Aalbak Jensen
製作総指揮 ペーター・ガルデ Peter Garde
脚本 ラース・フォン・トリアー Lars von Trier
撮影 マヌエル・アルベルト・クラロ Manuel Alberto Claro
プロダクションデザイン イェテ・レーマン Jette Lehmann
衣装デザイン マノン・ラスムッセン Manon Rasmussen
編集 モリー・マリーヌ・ステンスゴード Molly Marlene Stensgaard
出演 キルステン・ダンスト Kirsten Dunst
出演 シャルロット・ゲンズブール Charlotte Gainsbourg
出演 アレキサンダー・スカルスガルド Alexander Skarsgard
出演 ブラディ・コーベット Brady Corbet
出演 キャメロン・スパー Cameron Spurr
出演 シャーロット・ランプリング Charlotte Rampling
出演 イェスパー・クリステンセン Jesper Christensen
出演 ジョン・ハート John Hurt
出演 ストッカード・チャニング Stockard Channing
出演 キーファー・サザーランド Kiefer Sutherland