愛を読むひと

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公開日 2009/06/19  124分


★★★★★★ 6.0


予想外に良かった。
スティーヴン・ダルドリーには特に良い印象はなかったが、初めていいなと思った。
説明的な表現ではなく、観客が想像する余地を適度に残しているのが、この作品に相応しく好ましい。
例えば、ヘタすると死刑にまでなりかねない裁判においてさえ、あくまで隠し通そうとした秘密には、そこまで至るどんな過去があったのか。
読み書きを覚えるにつれて、自分の身辺に構わなくなったのは、どのような心の変遷があったのか。
劣等感がバネになっていた、そんな単純な図式なのだろうか。
初体験とナチという過去に捕らわれた女性、男が彼女に訊くのは、逢瀬の記憶ではなく、収容所の看守時代の記憶だ。
それほどにナチの傷は深いということか。
それともナチの弾劾という戦後のポピュリズムに埋もれてしまったやるせない悲劇なのか。
多くのエピソードに説明的表現はない。
自分なりの解釈を試みることで、作品の深みが増していく好例だ。
それ故にこの舞台を考えると様々な批判が起こるのも頷けるし、それにも関わらずこの地味な内容を映画化した製作陣には拍手を送りたい。
とはいいつつも、眠気を催さなかったのは、セックスを活かした掴みが効いているのかもしれないが。
コンプレックスを抱えつつも、愚直に気丈に生きた女性をケイト・ウィンスレットが熱演。
妊娠により降板したニコール・キッドマンならオスカーはどうなっただろう。
レイフ・ファインズはヴォルデモートのイメージがまだ抜けない。
英語の台詞にはちょっと違和感。

原題  THE READER

製作国 アメリカ
製作国 ドイツ
製作 Weinstein Company
配給 ショウゲート

監督 スティーヴン・ダルドリー Stephen Daldry
製作総指揮 ボブ・ワインスタイン Bob Weinstein
製作総指揮 ハーヴェイ・ワインスタイン Harvey Weinstein
原作 ベルンハルト・シュリンク Bernhard Schlink
脚本 デヴィッド・ヘア David Hare
プロダクションデザイン ブリジット・ブロシュ Brigitte Broch
編集 クレア・シンプソン Claire Simpson
音楽 ニコ・ムーリー Nico Muhly

出演 ケイト・ウィンスレット Kate Winslet
出演 レイフ・ファインズ Ralph Fiennes
出演 デヴィッド・クロス David Kross
出演 レナ・オリン Lena Olin
出演 アレクサンドラ・マリア・ララ Alexandra Maria Lara
出演 ブルーノ・ガンツ Bruno Ganz