
公開日 2011/12/17 111分
傷ついた魂は一生癒されることがないのだ。
魂には大人も子供もなく、それはその後にどれだけ周囲に愛されようとも変わることはない。
戦争はそれ自体が終結しようとも、その後も続く悲劇は計り知れない、そのことはこれまでも『ソフィーの選択』などでも描かれてきた。
親の祈りや、周囲の人々の支えさえも、葛藤や苦しみを与える結果となる悲痛さは、直接に映す手法を採ることなく深く示される。
戦場での子供の描写も枚挙にいとまはなく、どことなく既視感は強い。
サラの子役は美しさ、子供らしさと利発さを兼ね備えて見事。
過去の悲劇とその謎を解く現代を並行して描く手法は、最近では『灼熱の魂』に近い。
本作を特徴づけるのは、フランスの国家によるユダヤ人の迫害、ナチスドイツへの協力という、あまり知られていない過去とそれを埋没させている現代の無関心だ。
悲劇に陥った少女の強い意志と、その悲劇の暴露へと突き動かされる現代の主人公の性格はおそらく瓜二つなのだろう。
「真実を知るには代償がいる」という台詞がある。
真実を知らずにはいられない二人の主人公。
一人は弟の経過を、もう一人はその姉の経過を。
真実を知った二人の主人公に平穏な日々は訪れることはない。
そうした代償を積み重ねてゆき、この世の中はよくなっているのだろうか。
少女の名前とその背中に希望が重なるラストがあまりに切ない。
原題 ELLE S'APPELAIT SARAH
製作国 フランス
製作 Hugo Productions
配給 ギャガ GAGA Corporation
監督 ジル・パケ=ブランネール Gilles Paquet-Brenner
製作 ステファーヌ・マルシル Stphane Marsil
製作総指揮 ガエタン・ルソー Gaetan Rousseau
原作 タチアナ・ド・ロネ Tatiana De Rosnay
脚本 ジル・パケ=ブランネール Gilles Paquet-Brenner
脚本 セルジュ・ジョンクール Serge Joncour
撮影 パスカル・リダオ Pascal Ridao
衣装デザイン エリック・ペロン Eric Perron
編集 エルヴェ・シュネイ Herve Schneid
音楽 マックス・リヒター Max Richter
出演 クリステン・スチュワート Kristen Stewart
出演 メリュジーヌ・マヤンス Mlusine Mayance
出演 ニエル・アレストリュプ Niels Arestrup
出演 エイダン・クイン Aidan Quinn
出演 フレデリック・ピエロ Frederic Pierrot
出演 ミシェル・デュショーソワ Michel Duchaussoy