声をかくす人

店舗イメージ

公開日 2012/10/27  122分


★★★★★★★ 7.0


DVDでなく、ロードショーで観たいと思う監督がいる。
例えば、イーストウッドやクリストファー・ノーラン。
レッドフォードもその一人だ。
この思いは私だけではないらしく、初公開から3ヶ月以上を経て、DVDの発売も近い今でも劇場は予想以上の観客数だった。
前作『大いなる陰謀』は批評家受けはよくなかったものの、今も素晴らし印象が残っている快作だ。
本作も前作と同様に、多くの支持は受け難い題材だ。
ここにはレッドフォードの、人気などはどうでもいい、言っておきたいことを言っておくという姿勢が見て取れる。
描くタッチも前作に近い。
国家の意思とは誰がどのように決定しているのかを描きつつ、そこには私欲ではない確たる信念があることも見せている。
前作のトム・クルーズと本作のケヴィン・クラインは同じ立ち位置だ。
だが例え国家がどうであれ、無視してはならない正義があること(この場合は法の正義)を、痛切に描いている。
世論(大衆の雰囲気)の持つ強制力の恐ろしさに対するマイノリティへの視線が優しい。
歴代大統領の中でも最も清廉と言われるリンカーンを暗殺した犯人達は、既にイメージでしかない。
このイメージの恐ろしさを見せつけ、イメージや感傷で捉えるのではなく、事実の検証=正当な裁判こそが正義だと訴えている。
これは延いては、サダム・フセインやビンラディンの処刑にまで思いが及ぶ訳で、面白くない観客もいるのは当然だ。万人受けしないのも頷ける。
しかしながら本作で描かれる過去の歴史の傷は今もなお起こり得ることであり、繰り返させたくないという意志が透けて見える。
レッドフォード作品のキャスティングは地味だが、そのパフォーマンスも含めて相変わらず素晴らしい。

原題  THE CONSPIRATOR

製作国 アメリカ
製作 American Film Company
配給 ショウゲート

監督 ロバート・レッドフォード Robert Redford
製作 ロバート・レッドフォード Robert Redford
製作 グレッグ・シャピロ Greg Shapiro
製作 ビル・ホールダーマン Bill Holderman
製作 ブライアン・フォーク Brian Falk
製作 ロバート・ストーン Robert Stone
製作総指揮 ジョー・リケッツ Joe Ricketts
製作総指揮 ジェレマイア・サミュエルズ Jeremiah Samuels
製作総指揮 ウェブスター・ストーン Webster Stone
原作 ジェームズ・ソロモン James Solomon
原作 グレゴリー・バーンスタイン Gregory Bernstein
脚本 ジェームズ・ソロモン James Solomon
撮影 ニュートン・トーマス・サイジェル Newton Thomas Sigel
プロダクションデザイン カリーナ・イワノフ Kalina Ivanov
衣装デザイン ルイーズ・フログリー Louise Frogley
編集 クレイグ・マッケイ Craig McKay
音楽 マーク・アイシャム Mark Isham

出演 ジェームズ・マカヴォイ James McAvoy
出演 ロビン・ライト Robin Wright
出演 ケヴィン・クライン Kevin Kline
出演 エヴァン・レイチェル・ウッド Evan Rachel Wood
出演 ダニー・ヒューストン Danny Huston
出演 ジャスティン・ロング Justin Long
出演 アレクシス・ブレデル Alexis Bledel
出演 ジョニー・シモンズ Johnny Simmons
出演 コルム・ミーニイ Colm Meaney
出演 トム・ウィルキンソン Tom Wilkinson
出演 スティーヴン・ルート Stephen Root