LOOPER/ルーパー

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公開日 2013/01/12  118分


★★★★★★ 6.0


予告編を見て、こんなに内容を誤ることはそうそうない。
主人公ジョセフ・ゴードン=レヴィットが悪役と解った人がどれ程いるだろう。
単なるSFではなく、サイキックな登場人物があることも知らされていない。

ルーパーとは殺し屋だ。それも犯罪組織の最下層の奴ら。
30年先の未来からタイムマシンで送られてくる人間を撃ち殺すのが仕事だ。
標的は後ろ手に縛られた上に、頭に袋を被せられているので、引き金を引いて死体を始末するという仕事を淡々と繰り返す。
組織はルーパーの殺しを揉み消すために、いつかの時点で多額の報酬と引き換えに30年後のルーパー自身を送るのだ。
そしてルーパーは報酬を得て30年間の限られた余生を過ごすこととなる。

タイムトラベルを題材にしたアクションとしては小品の印象だ。
宣伝にあったような「見たこともないような映像」はどこにもない。
しかし、本作の2つのテーゼは印象深く、考えさせられる。
一つはブルース・ウィリスの起用だ。ジョセフ・ゴードン=レヴィットの30年後がブルース・ウィリスというキャスティングは無茶ではあるが意味がある。
ブルース・ウィリスはこれまでの出演作と同様のアクションで悪の組織をぶっ潰す。
だが、本作はそういったかつてのアクション作品を踏まえた上で問題提起を行っている。
それで世の中が変わって来ているのか、未来が変わるのか、と。
描かれる未来社会が今よりも銃社会で殺伐と描かれているのもその所以だろう。

もう一つは、ラストの決着だ。タイムマシンによる時間のループでは解決できないことがあり、そしてタイムループが憎しみのループにすり変わる急展開な結末が心地よく、感動的だ。
ただ、親友さえも裏切る超利己的な主人公がラストに至る心の変化、成長の過程が見え辛い。
ブルース・ウィリス演じるオールド・ジョーの頭の中で、エミリー・ブラントが大きくなることなどで表現しており、とても面白い表現なのだが、分かり辛いのも確かである。

タイム・パラドックスの矛盾は、もはやどんな作品でも説明できない。
例えば、ダイナーで向かい合うジョーとオールド・ジョー。
かたやオールド・ジョーを殺せなかった者、かたやオールド・ジョーを殺した者なので別人の筈。
なので、その場面でジョーが死んでも、オールド・ジョーは死なない筈。
まあ、こんな理屈をかざすと面白さは半減するのだが・・・。
ラストのスッキリさ、少年の未来やジョーの映像など、物語が決した後にベタベタとしたエピローグがないのも好ましい。

原題  LOOPER

製作国 アメリカ
製作 DMG Entertainment
製作 Endgame Entertainment
製作 FilmDistrict
製作 Ram Bergman Productions
配給 ギャガ GAGA Corporation
配給 ポニーキャニオン PONY CANYON INC.

監督 ライアン・ジョンソン Rian Johnson
製作 ラム・バーグマン Ram Bergman
製作 ジェームズ・D・スターン James D. Stern
製作総指揮 ダグラス・ハンセン Douglas Hansen
製作総指揮 ジュリー・ゴールドスタイン Julie Goldstein
製作総指揮 ピーター・シュレッセル Peter Schlessel
製作総指揮 ジョセフ・ゴードン=レヴィット Joseph Gordon-Levitt
製作総指揮 ダン・ミンツ Dan Mintz
脚本 ライアン・ジョンソン Rian Johnson
撮影 スティーヴ・イェドリン Steve Yedlin
プロダクションデザイン エド・ヴァリュー Ed Verreaux
衣装デザイン シャレン・デイヴィス Sharen Davis
編集 ボブ・ダクセイ Bob Ducsay
音楽 ネイサン・ジョンソン Nathan Johnson

出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット Joseph Gordon-Levitt
出演 ブルース・ウィリス Bruce Willis
出演 エミリー・ブラント Emily Blunt
出演 ポール・ダノ Paul Dano
出演 ノア・セガン Noah Segan
出演 パイパー・ペラーボ Piper Perabo
出演 ジェフ・ダニエルズ Jeff Daniels