
公開日 1988/04/16 88分
かなり前のことになるが、TVで『風の谷のナウシカ』の放映を観ていた時に、友人から電話があった。
その時、番組にのめりこんでいた私はその事を彼に話すと、『風の谷の‥・』は映画館で観るべき作品だ、とのこと。
私はたかがアニメーション、TVで観ても一緒だろうと思っていた。
しかし、この『となりのトトロ』を観て、私が間違っていたことにはっきり気がついた。
アニメーション映画がこんなに面白く、素敵なものであるとは全く思いもしなかった。
これからは、思いを入れなおさなくては。
’創造力の飛翔’というこの作品に対する批評を読んだことがある。
この作品にはまさにその言葉がぴったりとあてはまる。
この作品全体にみなぎる明るさは子供のみが持つことを許される創造力によるものではない。
我々大人にも、この窮屈な現代に生きていてさえ、ひょっとしたら持つことが可能な創造力によるものである。
しかもこの作品はその創造力を私達が創造しうる以上に飛翔させている。
従って、子供向けなどという判断は論外である。
登場するキャラクターの素晴らしさ、その展開の愉快なこと。
作品中、トトロがくれた木の実が大きく、大きく成長するシーンで私は猛烈に感動した。
私の中にある少年性が持つ創造カ、それと作品の持つ創造力が共鳴して、私は現実から放たれた開放感に包まれた。
あのグングン大きく成長する木こそ、この作品の原動力である。
この創造力、開放感は現代の大人の生活の中では重視されないが、誰もが密かに持ち続けているものであろう。
この作品は映画という虚構の中へ私を連れ込み開放してくれた。
この作品を観て感動できる自分を持ち続けたい、そう思わずにはいられない。
原題 となりのトトロ / MY NEIGHBOR TOTORO
製作国 日本
製作 徳間書店
配給 東宝
監督 宮崎駿 Miyazaki Hayao
製作 徳間康快 Tokuma Yasuyoshi
プロデューサー 原徹 Hara Tohru
企画 山下辰巳 Yamashita Tatsumi
企画 尾形英夫 Ogata Hideo
原案 宮崎駿 Miyazaki Hayao
脚本 宮崎駿 Miyazaki Hayao
撮影 白井久男 Shirai Hisao
美術 男鹿和雄 Oga Kazuo
音楽 久石譲 Hisaishi Joe
主題歌 井上あずみ Inoue Azumi
作画監督 佐藤好春 Sato Yoshiharu
出演 日高のり子 Hidaka Noriko
出演 坂本千夏 Sakamoto Chika
出演 糸井重里 Itoi Shigesato
出演 島本須美 Shimamoto Sumi
出演 北林谷栄 Kitabayashi Tanie
出演 高木均 Takagi Hitoshi