沈まぬ太陽

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公開日 2009/10/24  202分


★★★★★★ 6.0


映画館でINTERMISSION(休憩)のある作品を観るのは、いつ以来だろう。
思い出せない・・・。
3時間22分に及ぶ長編にして、大スケール、豪華キャストによる大作。
いや力作と呼ぶのが相応しいかもしれない。

日航機墜落事故から24年という歳月だけではなく、JALの斜陽化が映画化にこぎ付けた鍵なのだろう。
とはいえ、映画化には幾多の苦難があったことは容易に窺える。
この製作側の強い意思は映像でも感じ取ることができる。
出ずっぱりの渡辺謙を始め、出演者の熱演も合わせて、「熱」を感じ取れる作品だ。
最後までダレることなく、飽きることなく観ることができる。

3時間超とはいえ、全5巻の原作通りに描くのは無理なので、多くの部分が削がれているのは、原作は未読ながらも窺える。
事故被害者の描写も印象的な一部に限定した結果なのだろう。
被害者に配慮した控えめな映像は、「ムチャクチャにされて殺された」という台詞などで相当補っているが、飛行機のハメコミの映像はいかがなものか。
撮影許可のでないJALへの当てつけ、巨大な殺人マシンの映像表現との善意的な見方もあるようだが、そうは思えない。
特に一番機の映像などはリアルにすべきだろう。
日航機事故を扱った作品として、JALという企業を舞台にした本作は、『クライマーズ・ハイ』よりも事故に対する視点が近い。
そのため自然と描写も重い。
予想に反して時系列に描かなかったこと、主人公を一人に絞ったこと(原作は後半、会長の国見が主人公になるらしい)は上手い。
西岡琢也の脚本とは思えない出来だ。
最大のトピックである事故を冒頭に持ってきたことで、作品の姿勢を宣言したことは、観るものを集中させることに成功している。

ただ、事故当時の夏、アフリカの灼熱、ニューヨークの冬など、季節感が描けていないのが残念。
『ホワイトアウト』の寒さの描写同様、これは監督の感性なのだろう。
とはいえ、日本アカデミー(あまり注目していないが)も頷ける日本映画らしい、真面目な、見応えのある力作である。

英題  THE SUN THAT DOESN'T SET

製作国 日本
製作 「沈まぬ太陽」製作委員会
製作 角川映画
製作 東宝
製作 ケイダッシュ
製作 新潮社
配給 東宝

監督 若松節朗 Wakamatsu Setsuo
製作 井上泰一 Inoue Taiichi
製作 岡田和則 Okada Kazunori
製作 越智貞夫 Ochi Sadao
製作 井口喜一 Iguchi Yoshikazu
企画 小林俊一 Kobayashi Syunichi
製作総指揮 土川勉 Tsuchikawa Tsutomu
製作総指揮 角川歴彦 Kadokawa Tsuguhiko
原作 山崎豊子 Yamazaki Toyoko
脚本 西岡琢也 Nishioka Takuya
撮影 長沼六男 Naganuma Mutsuo
美術 小川富美夫 Ogawa Fumio
編集 新井孝夫 Arai Takao
音楽 住友紀人 Sumitomo Norihito
主題歌 福原美穂 Fukuhara Miho

出演 渡辺謙 Watanabe Ken
出演 三浦友和 Miura Tomokazu
出演 松雪泰子 Matsuyuki Yasuko
出演 鈴木京香 Suzuki Kyoka
出演 石坂浩二 Ishizaka Koji
出演 香川照之 Kagawa Teruyuki
出演 木村多江 Kimura Tae
出演 清水美沙 Shimizu Misa
出演 鶴田真由 Tsuruta Mayu
出演 柏原崇 Kashiwabara Takashi
出演 戸田恵梨香 Toda Erika
出演 品川徹 Shinagawa Tohru
出演 宇津井健 Utsui Ken
出演 小林稔侍 Kobayashi Nenji
出演 加藤剛 Katoh Gou