
公開日 2008/06/28 121分
タイトルからは、法廷もの、警察ものを連想させるが、そうではない。
本筋とは殆ど関係がない「告発」という言葉をなぜ邦題に選んだのか。
原題は『IN THE VALLEY OF ELAH』(エラの谷)であり、旧訳聖書で、ダビデが巨人戦士ゴリアテと戦った谷で、知ってしまえば、相当に意味深で比喩に富んだタイトルなのだが、さすがに日本人には向かないので改題したのだろうが・・・、ヒドイ。
ただ、作品自体はアメリカの暗部に鋭いメスを入れた素晴らしい出来といえる。
イラク戦争で精神的に崩壊していった軍人たちを追うことで、病めるアメリカとイラク戦争の狂気をあぶり出していく。
更には殺人犯を暴こうとする元軍人の父親自身の思わぬ本質にまでえぐり出した手腕は、さすが『クラッシュ』のポール・ハギスといえる。
『クラッシュ』で見せた演出のたどたどしさは消え、更にカット、カットの密度の濃さを増している。
反イラク戦争を描くことで起こる当然の風当たりへの確固たる意志も窺える。
大ヒットするはずのない作品と分かっていても敢えて作る姿勢も好ましい。
現在の映画作家で注目の一人であることは間違いない。
本作の出来そのものを大きく左右する主人公、見る角度によって異なる存在となる複雑な役柄を無難に演じたトミー・リー・ジョーンズは見事。
イラクからの帰還兵の殺人事件を追うという展開ではあるが、邦題からも、犯人探しという謎解き視点で見ると肩透かしを喰うかも。
それが、作品のマイナス評価になるのかもしれない。
原題 IN THE VALLEY OF ELAH
製作国 アメリカ
製作 Warner Independent Pictures
製作 NALA Films
製作 Summit Entertainment
配給 ムービーアイ
監督 ポール・ハギス Paul Haggis
製作 ポール・ハギス Paul Haggis
製作 パトリック・ワックスバーガー Patrick Wachsberger
製作 スティーヴ・サミュエルズ Steve Samuels
製作 ダーレーン・カーマニョ Darlene Caamano
製作 ローレンス・ベクシー Laurence Becsey
製作総指揮 スタン・ヴロドコウスキー Stan Wlodkowski
製作総指揮 デヴィッド・ギャレット David Garrett
製作総指揮 エリック・フェイグ Erik Feig
製作総指揮 ジェームズ・A・ホルト James A. Holt
製作総指揮 エミリオ・ディエス・バロッソ Emilio Diez Barroso
原案 マーク・ボール Mark Boal
原案 ポール・ハギス Paul Haggis
脚本 ポール・ハギス Paul Haggis
撮影 ロジャー・ディーキンス Roger Deakins
プロダクションデザイン ローレンス・ベネット Laurence Bennett
衣装デザイン リサ・ジェンセン Lisa Jensen
編集 ジョー・フランシス Jo Francis
音楽 マーク・アイシャム Mark Isham
出演 トミー・リー・ジョーンズ Tommy Lee Jones
出演 シャーリーズ・セロン Charlize Theron
出演 スーザン・サランドン Susan Sarandon
出演 ジョナサン・タッカー Jonathan Tucker
出演 ジェームズ・フランコ James Franco
出演 フランシス・フィッシャー Frances Fisher
出演 ジョシュ・ブローリン Josh Brolin
出演 ジェイソン・パトリック Jason Patric