
公開日 2000/01/22 91分
黒澤明の没後、残されていたという二本の脚本の一つ。
(もう一本は『海は見ていた』)
黒澤の助監督を務めていた小泉尭監督を始め、スタッフ・キャストともに黒澤組色が鮮明で、追悼作というよりも黒澤作品の創造、リメイクに近いと思われる。
その出来はというと、これがかなりの出来で、黒澤の晩年作よりも面白く観ることができた。
腕は立つが優しい志ゆえに仕官のままならない浪人に寺尾聰、それを理解し支える妻に宮崎美子。
旅の途中の大雨で川止めに遭った約一週間の間に、ふとしたきっかけから、藩の剣術指南番登用の機会を得た主人公の顛末を描く。
人情味がある一方で、滅法強い寺尾聰は、三船の演じる主人公とはまた違った味わいがあっていい。
黒澤作品では殆どクローズアップされない女優についても、本作の宮崎美子はまさに適役で作品の一番美味しいところを持って行っている。
脇役も総じて好演で、期待にこたえている。
三船ジュニアも殿様役で出演しているが、これは作品の内容にも沿った“温情”出演。厳しく観れば観られたものではない。
殺陣の張りつめた緊張感、下層民の苦労と人情、役人へのアイロニー、作品の根幹に流れる黒澤カラーは、物語の後までも想いを馳せられる爽やかなエンディングにまで続く。
ちなみに本作は、これまでの黒澤作品を含め「映画に出てくる強い浪人はいつ鍛錬しているのだろう」という疑問にも答える、痒いところにも手が届いた内容になっている。
原題 雨あがる / WHEN THE RAIN LIFTS
製作国 日本
製作 「雨あがる」製作委員会
製作 スタッフ東京
製作 IMAGICA Corp.
製作 博報堂
製作 住友商事
製作 日本カルミック
製作 サミー
製作 テレビ東京
製作 角川書店
製作 アスミック・エース Asmik Ace Entertainment, Inc.
配給 東宝 TOHO
配給 アスミック・エースエンタテインメント Asmik Ace Entertainment, Inc.
監督 小泉堯史 Koizumi Takashi
監督補 野上照代 Nogami Teruyo
製作 原正人 Hara Masato
製作 黒澤久雄 Kurosawa Hisao
原作 山本周五郎 Yamamoto Syuugorou
脚本 黒澤明 Kurosawa Akira
撮影 上田正治 Ueda Syoji
撮影 斎藤孝雄 Saito Takao
美術 村木与四郎 Muraki Yoshiro
衣装デザイン 黒澤和子 Kurosawa Kazuko
編集 阿賀英登 Aga Hideto
音楽 佐藤勝 Satoh Masaru
出演 寺尾聰 Terao Akira
出演 宮崎美子 Miyazaki Yoshiko
出演 三船史郎 Mifune Shirou
出演 吉岡秀隆 Yoshioka Hidetaka
出演 原田美枝子 Harada Mieko
出演 檀ふみ Dan Fumi
出演 井川比佐志 Igawa Hisashi
出演 加藤隆之 Katoh Takayuki
出演 松村達雄 Matsumura Tatsuo
出演 仲代達矢 Nakadai Tatsuya