渚にて

店舗イメージ

公開日 1960/02/10  135分


★★★★★ 5.0


反戦をテーマにした映画は数知れずあるが、それに比べて反核をテーマにした映画は少ない。
名画ともなれば尚更である。そんな数少ない反核映画の代表作。
描かれる時代は核戦争後の地球。核戦争自体は描かれない。
放射能汚染は次第に拡がり、安全な地域は南半球の一部(オーストラリア)のみとなるがここも時間の問題という絶望的状況。
潜水艦ゆえに生き延びることができた米軍の艦長とそれに纏わる人々を中心に描かれるが、本作の特色は静けさである。
自棄による暴動や犯罪が起こらない。
実際にこのような地球的絶望に陥った場合、愚かしい様が起こらないのは奇跡的とも思えるし、状況に反した人間の美しさを思わずにいられない。
無人となった大都会の描写は印象的で、今日でも数々の作品に引き継がれている描写である。
カーレースに挑むフレッド・アステアのエピソードについては、物語から浮いているという批判もあるが、好きなことしたいという思いや、命運が尽きようとして初めて命知らずなレースで勝てる皮肉が描かれていて、個人的には良いと思う。
ビリヤードのエピソードなども素朴でいい。
エヴァ・ガードナーを置いて旅立つグレゴリーペックは、現代では馴染まないかもしれないが、当時の海軍などでは当然なのだろう。
ラストの横断幕のショットは、なるほどと思わせるメッセージとなって強烈。

原題  ON THE BEACH

製作国 アメリカ
製作・配給 United Artists Entertainment LLC

監督 スタンリー・クレイマー Stanley Kramer
製作 スタンリー・クレイマー Stanley Kramer
原作 ネヴィル・シュート Nevil Shute
脚本 ジョン・パクストン John Paxton
脚本 ジェームズ・リー・バレット James Lee Barrett
撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ Giuseppe Rotunno
撮影 ダニエル・ファップ Daniel Fapp
音楽 アーネスト・ゴールド Ernest Gold

出演 グレゴリー・ペック Gregory Peck
出演 エヴァ・ガードナー Ava Gardner
出演 フレッド・アステア Fred Astaire
出演 アンソニー・パーキンス Anthony Perkins
出演 ドナ・アンダーソン Donna Anderson