617 | cinemaport

公開日　2001/11/03　　113分

★★★★★　5.0

メメントとは「前向性健忘（発症以前の記憶はあるものの、それ以降はわずか間しか記憶できない症状）という記憶障害」のこと。
妻を殺されたと同時に頭部に受けた傷によって、10分間しか記憶が持たなくなった男による復讐の顛末を描く。
記憶の代わりにポラロイド写真とそこに書いたメモを証拠に犯人を追い詰めていくという、たぐい稀なストーリーに加えて、時間軸を逆に現在から過去へ進んでいく展開が斬新だ。
ただ、惜しむらくは話が長い。
同じことが何度も繰り返されるのには意味があっても、視覚的に同じシーンの繰り返しが長いのにはイラッとしてしまう。
なかなか展開が先に進まないのが辛い。

その一方で、意外な結末に至る経緯は、予め冒頭からすべて示されているという構成は上手い。
障害を受ける以前の記憶はあるので、自分が誰なのかは勿論、車の運転できるし、銃も扱える。
10分しか記憶の持たない男の復讐劇とは、そもそもどういうことなのか。
主人公の『記憶は確かではない。写真やメモは間違えない。』という台詞の意味深さ。
10分しか記憶が持たないという珍しい状況に目を奪われては、見落としてしまう、人生の悲喜劇が裏側に用意されている。
特異な設定ならではの効果ではあるが、感動的でもあるラストである。
このスタッフの一部によって、後年『ドニー・ダーコ』が作られるのには納得。

尚、ＤＶＤには、過去から未来へと時間軸に沿って描かれる『リバース・バージョン』がある。

原題　MEMENTO

製作国アメリカ
製作・配給東芝
製作・配給アミューズピクチャーズ

監督クリストファー・ノーラン Christopher Nolan
製作ジェニファー・トッド Jennifer Todd
製作スザンヌ・トッド Suzanne Todd
製作総指揮クリストファー・ボール Christopher Ball
製作総指揮アーロン・ライダー Aaron Ryder
製作総指揮ウィリアム・タイラー William Tyrer
脚本クリストファー・ノーラン Christopher Nolan
撮影ウォーリー・フィスター Wally Pfister
編集ドディ・ドーン Dody Dorn
音楽デヴィッド・ジュリアン David Julyan

出演ガイ・ピアース Guy Pearce
出演キャリー＝アン・モス Carrie-Anne Moss
出演ジョー・パントリアーノ Joe Pantoliano
出演マーク・ブーン・Ｊｒ Mark Boone, Jr.
出演スティーヴン・トボロウスキー Stephen Tobolowsky