チェンジリング

店舗イメージ

公開日 2009/02/20  142分


★★★★★★★ 7.0


「チェンジリング」とは取り替え子の意。
「森の妖精が美しい子をさらったあとに醜い子を置いていく」という寓話から来ているらしい。
確かにそのような内容・・・
 老齢に達してますます冴えを見せるイーストウッドの演出は健在。
名立たる演出家が晩年に衰えを見せる中で、驚異的と言わざるを得ない。
「True Story」の題字から始まる物語は、これがなければ疑わしくなる程に現実離れした展開を見せる。
だが現実に子供の失踪に端を発した物語は、別の子供が名乗り出たことから二転三転、次々と悲劇を生んでいく。
警察、精神病院の横暴、虐待、猟奇的殺人、百年を経ない時代であるのに暗黒とも思わせる時代を思わせる。

そんな中、あらゆる偏見や差別に対して、我が子への愛情だけを頼りに挑むヒロインをアンジェリーナ・ジョリーが好演している。
絶えず涙を湛えた瞳で、心が折れそうになりながらも、ある時は激情的に、ある時は穏やかに暗闇の中から希望を見い出そうとする姿が痛ましい。
牧師でありながらもアンジェリーナの境地までには至れない現実と宗教の狭間で揺れるジョン・マルコビッチもいい。

イーストウッドが数多く携わったウェスタンでは当たり前の描写で、しかも、ほんの昔にあった現実の描写なのだが、絞首刑のシーンがあまりにリアルであるため、PG-12とオスカー外なのは仕方ないと思われる。

所々に散りばめられたサスペンスタッチが冴え、トラックに積まれたライフルに目を遣るシーン、農場に捜査に入るシーン等々、適度に緊張を与え注意を惹き付ける演出はさすが。

希望に微笑むアンジェリーナ・ジョリーを映しながらも、やり直しのきかない人生を映し、無常を湛えたラストは深い余韻を残す。

原題  CHANGELING

製作国 アメリカ
製作 Imagine Entertainment
製作 Malpaso Productions
製作 Relativity Media
配給 東宝東和

監督 クリント・イーストウッド Clint Eastwood
製作 クリント・イーストウッド Clint Eastwood
製作 ブライアン・グレイザー Brian Grazer
製作 ロン・ハワード Ron Howard
製作 ロバート・ロレンツ Robert Lorenz
製作総指揮 ティム・ムーア Tim Moore
製作総指揮 ジェームズ・ウィテカー James Whitaker
脚本 J・マイケル・ストラジンスキー J. Michael Straczynski
撮影 トム・スターン Tom Stern
プロダクションデザイン ジェームズ・J・ムラカミ James J. Murakami
衣装デザイン デボラ・ホッパー Deborah Hopper
編集 ジョエル・コックス Joel Cox
編集 ゲイリー・ローチ Gary Roach
音楽 クリント・イーストウッド Clint Eastwood

出演 アンジェリーナ・ジョリー Angelina Jolie
出演 ジョン・マルコヴィッチ John Malkovich
出演 ジェフリー・ドノヴァン Jeffrey Donovan
出演 コルム・フィオール Colm Feore
出演 ジェイソン・バトラー・ハーナー Jason Butler Harner
出演 エイミー・ライアン Amy Ryan
出演 マイケル・ケリー Michael Kelly
出演 ジェフ・ピアソン Geoff Pierson