ボルベール <帰郷>

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公開日 2008/02/01  120分


★★★★★ 5.0


何かと評価の高いペドロ・アルモドバル監督による、評判のよい作品。
しかしどうなのだ、この作品。
例えば、あらすじを見るとかなり面白いし、実際の脚本は細部にまで綿密に作りこんである。

オープニングのシーン。墓地であること、風が強いこと、墓石を掃除しているのが女性ばかりだこと、実はこのシーンだけで相当な意味があるのだ。
しかし、幾らあらすじが面白くても、緻密に練られた脚本でも、実際に観るとイマイチ面白くない作品もあるものだ、と思わせる、珍しく、かつ希少な作品。
それにこの監督の描写にはついていけない部分がある。
夫を殺した包丁を食器の上で洗うか?食器が使えなくなるだろう!
しかし、敢えてこのカットを入れているには意味があるのだろうが、それが理解できない。
この監督からは「日常生活」のリズムが感じられないのだ。
普段きちんとした生活をしているのかさえ疑問に感じてしまう。

映画では道徳観や美的感覚は個人に任され、正しいもの、美しいものが支持されるものではない。
ただ『トーク・トゥ・ハー』での人道的な拒否感といい、あちこちでとり残される感覚は、共感や理解から遠ざけられ、延いては次作の期待度さえ薄めさせてしまう。
ペネロペ・クルス始め、演技陣はいいんだけど。

原題  VOLVER

製作国 スペイン
製作 Canal+ Espana
製作 El Deseo
配給 ギャガ

監督 ペドロ・アルモドバル Pedro Almodovar
製作 エステル・ガルシア Esther Garcia
製作総指揮 アグスティン・アルモドバル Agustin Almodoval
脚本 ペドロ・アルモドバル Pedro Almodovar
撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ Jose Luis Alcaine
編集 ホセ・サルセド Jose Salcedo
音楽 アルベルト・イグレシアス Alberto Iglesias

出演 ペネロペ・クルス Penelope Cruz
出演 カルメン・マウラ Carmen Maura
出演 ロラ・ドゥエニャス Lola Duenas
出演 ブランカ・ポルティージョ Blanca Portillo
出演 ヨアンナ・コボ Yohana Cobo