
公開日 2007/04/28 143分
「モロッコの貧しい少年が放った一発の銃弾が生む悲劇は世界の裏側まで連鎖し波紋を広げていく・・・」のような触れ込みだったが、実際はそのような構成にはなっていない。
妙に時間軸がずらされていて、連鎖は時系列に表現されていないからだ。
この時間軸の構成が効果的であったと思えないし、物語の各パートも、関連はあるものの必然性によっては繋がっていない。
言葉という壁によって想いが伝わらない叫びは強烈に伝わるが、悲劇の引き金となった行為の受け止め方で印象は大きく異なるだろう。
この作品の場合、殆どの悲劇の原因は愚かな行為である。
「人に向けて撃つな」と親は教えていないのか?
子供を放って旅立ったツケが、親にも子にも回っているのでは?
なんで国境線を突破するんだ?等々・・・
これらの愚かな行為=バベルの塔を造った人間、と人間の根源に挑み、悲劇の意味を見出そうとする人には味わい深い作品になるだろう。
それでも銃を撃ってしまう少年の精神的な貧しさ、子供を置いて旅行に行ける裕福さと精神的脆さを併せ持つ都会人、国境を境にした国力の違い、貧富、差別、偏見を積み重ねた挙句の暴発、等々。
同じ環境にあっても、このように愚かな行為を取らず、自己を律している人も多くいるんだというヒューマニストには他愛もない作品に映るかもしれない。
このために人間の本来持つ愚かさの抉る角度が今ひとつに感じられるのが残念な作品であった。
オスカーも無理かな・・・と思う。
この作品で「ポケモン・ショック」(光過敏性発作)を起こした人があるらしい。
ストロボ、フラッシングに弱い方は、部屋を明るくして観てください。
原題 BABEL
製作国 アメリカ
製作 Paramount Pictures
製作 Paramount Vantage
製作 Anonymous Content
配給 ギャガ
監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ Alejandro Gonzalez Inarritu
製作 スティーヴ・ゴリン Steve Golin
製作 ジョン・キリク Jon Kilik
製作 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ Alejandro Gonzalez Inarritu
脚本 ギジェルモ・アリアガ Guillermo Arriaga
撮影 ロドリゴ・プリエト Rodrigo Prieto
編集 ダグラス・クライズ Douglas Crise
編集 スティーヴン・ミリオン Stephen Mirrione
音楽 グスターボ・サンタオラヤ Gustavo Santaolalla
出演 ブラッド・ピット Brad Pitt
出演 ケイト・ブランシェット Cate Blanchett
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル Gael Garcia Bernal
出演 役所広司 Yakusyo Koji
出演 菊地凛子 Kikuchi Rinko
出演 二階堂智 Nikaido Satoshi
出演 アドリアナ・バラーザ Adriana Barraza
出演 エル・ファニング Elle Fanning