オリバー・ツイスト

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公開日 2006/01/28  129分


★★★★★★ 6.0


古典文学を映画化する監督は、余程自分の演出に自信があるのだろう…などと思う私である。
それも頷けるほど、古典や舞台を映画化しているポランスキーであるが、今回は『戦場のピアニスト』の後だけに、自分の好みの題材を選べた筈であり、それだけに期待も増しての鑑賞であった。

古典と言っても大概は現代にも通じる内容を持つものであり、本作も十分に見応えのある、濃い内容の一作であった。

まず、レンブラントの絵画を思わせる深く濃い陰影に富んだ画像は、時間も手間も費用も十分に掛かったであろうが、他に類を見ないほどの美しさである。
屋根の上への逃亡シーンなどでは『フランティック』の圧倒的画像を思い起こしてしまう。
この監督の絵、特に遠近と陰影は、まさに美術である。

また、ストーリー展開も全く隙がない。
世の中の歪はすべて、最終的に弱いところに向かう=子供達が被害者になるという背景は、現代でも少しも変わっていないし、それでいても、子供達はやっぱり無邪気で希望を失わないという図式がおかしく悲しく描かれている。

オリバーだけではなく、「希望がない」と言ってオリバーを助けようとしたナンシーも、最後には「死んでも構わない」と大人に立ち向かったドジャーも、悪ぶった子供達も結局は純真な存在であり、これは子供達の賛歌でもある。

『どん底』を思わせる設定でもあり、地味であることは否めないので、スリル、スペクタル、意外な展開などを期待する人にはそぐわない。

アメリカではコケたようだが、アメリカ映画の低年齢化はさておいて、こういったドラマ、大人こそ観るべきではないだろうか。

原題  OLIVER TWIST

製作国 イギリス
製作国 チェコ
製作国 フランス
製作国 イタリア
製作・配給 東芝エンタテインメント
配給 東宝東和

監督 ロマン・ポランスキー Roman Polanski
製作 アラン・サルド Alain Sarde
製作 ロベール・ベンムッサ Robert Benmussa
製作 ロマン・ポランスキー Roman Polanski
原作 チャールズ・ディケンズ Charles Dickens
脚本 ロナルド・ハーウッド Ronald Harwood
撮影 パヴェル・エデルマン Pawel Edelman
プロダクションデザイン アラン・スタルスキ Allan Starski
衣装デザイン アンナ・B・シェパード Anna B. Sheppard
編集 エルヴェ・ド・ルーズ Herve de Luze
音楽 レイチェル・ポートマン Rachel Portman

出演 バーニー・クラーク Barney Clark
出演 ベン・キングズレー Ben Kingsley
出演 ハリー・イーデン Harry Eden
出演 ジェイミー・フォアマン Jamie Foreman
出演 エドワード・ハードウィック Edward Hardwicke
出演 リアン・ロウ Leanne Rowe
出演 マーク・ストロング Mark Strong
出演 イアン・マクニース Ian Mcneice