
公開日 2021/06/04 90分
★★★★★★ 6.0
観客を「映画大好き」に絞った作品。
観客層を狙った作品は時世的なものもあって、いわゆる評価ポイントが高くなる戦略でもある。
こうした特定の嗜好の観客を取り込もうとする作品は増加傾向にあると思う。
本作のDVDジャケットは、宮崎、 細田 、新海などのアニメとは異なり、少女マンガ感が溢れている。特に主人公ポンポさんの画がそうだ。
この画だけで敬遠する観客も少なからずいるだろう。
だがその内容は、映画好きに響く。
「映画の中に自分を観る」。そうだ、映画好きは物語や映像や音楽を通して、「映画の中に自分の共感と憧れと現実=自分」を観るのだ。
説明っぽくはあるが、映画の作り手も観客も、この本質を突いているところに本作の価値はある。
作品の主人公は、映画プロデューサーであり、脚本家でもあるポンポさんではなく、監督兼編集者であるジーンだ。
映画製作を題材とした作品の多くが、撮影に主体を置いているのに対して、本作は編集に重きが置かれている。
主人公が「ニュー・シネマ・パラダイス」を口にするのもその所以だろう。
私的にも、編集作業、「切る」ことの過酷さは黒澤明のエッセイなどで窺い知っているが、映画好きにはこの視点も堪えられないものだろう。
ただ、映画製作はこの作品で描かれるほど簡単ではないのだろうし、土下座して追加シーンが撮れるほど甘くもないのだろうが、そこは承知でデフォルメしていると受けとめたい。
また、上映時間90分や、女優の見せ方だけが映画の価値ではないとは思うが、こう言い切ってしまうところも映画好きを煽る確信犯なのだろう。
敢えていうなら、作品内で撮られている作品「MISTER」は面白そうではない。
原題 POMPO: THE CINEPHILE
製作国 日本
製作 CLAP
配給 角川ANIMATION
監督 平尾隆之 Hirao Takayuki
演出 居村健治 Imura Kenji
3DCG監督 高橋将人 Takahashi Masato
原作 杉谷庄吾 Sugitani Shogo
脚本 平尾隆之 Hirao Takayuki
撮影監督 星名工 Hoshina Takumi
撮影監督 魚山真志 Uoyama Masashi
編集 今井剛 Imai Tsuyoshi
音楽プロデューサー 岩瀬智彦 Iwase Tomohiko
音楽 松隈ケンタ Matsukuma Kenta
主題歌 CIEL CIEL
オープニングテーマ 新妻聖子 Niizuma Seiko
キャラクターデザイン 足立慎吾 Adachi Shingo
出演 清水尋也 Shimizu Hiroya
出演 小原好美 Kohara Konomi
出演 大谷凜香 Otani Rinka
出演 加隈亜衣 Kakuma Ai
出演 大塚明夫 Oysuka Akio
出演 木島隆一 Kijima Ryuichi