
公開日 2016/10/8 119分
★★★★★★ 6.0
なぜだかこの監督の作品のタイトルは琴線に響かない。
観たいと思わせるタイトルじゃないのだ。
まあ、これは好みの問題なのだが。
作品自体は面白いのに。
物語は『もしも「遥かなる山の呼び声」の高倉健が本当に悪い奴だったら』的な作品に思えた。
それくらい浅野忠信は高倉健風。
自分の頬を打つ表現が解りづらかったな。
感情の見えづらい浅野忠信よりも、筒井真理子、仲野太賀が印象的。
善人と思っていた夫。
罪を償い、根は善人と思っていた客人。
浅野忠信にも、夫である古舘寛治にも、思いもよらなかったどす黒い一面を見出す恐怖と、蝕まれていく恐怖。
殺されなくとも、壊れていく過程はホラー映画なみだ。
ホラー映画なら女優には色気が必要、ということで筒井真理子がホラー被害者の中年の色気を醸している。
仲野太賀は、その世慣れしていない雰囲気と、相反する父親の過去のギャップが怖い。
知らないことで、無いことにはできない意識の怖さ。
作品の根幹になるが、長年夫婦でいても、夫の根にある凶暴性に気づかないものだろうか。
誰もが立っている、誰もが陥る「淵」=「シチュエーション」ではないと思うが、「人は見かけによらない」恐怖映画。
そして、こうして観ると、『シェーン』のアラン・ラッド、『遥かなる山の呼び声』の健さんが悪人だったら、という逆説に興味は持っても、面白くはない。
原題 淵に立つ
製作国 日本
製作 マウンテンゲートプロダクション
配給 エレファントハウス
配給 カルチャヴィル
監督 深田晃司 Fukada Kouji
脚本 深田晃司 Fukada Koji
撮影 根岸憲一 Negishi Kenichi
編集 深田晃司 Fukada Koji
音楽 小野川浩幸 Onogawa Hiroyuki
主題歌 HARUHI HARUHI
出演 浅野忠信 Asano Tadanobu
出演 筒井真理子 Tsutsui Mariko
出演 仲野太賀 Nakano Taiga
出演 三浦貴大 Miura Takahiro
出演 篠川桃音 Shinokawa Momone
出演 真広佳奈 Mahiro Kana
出演 古舘寛治 Furutachi Kanji