荒野の誓い

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公開日 2019/09/06  135分


★★★★★★★ 7.0


ザ・多様性ウェスタン。
正にウェスタンを舞台に、"今"を描いた作品。
邦題は最悪の部類。

舞台は1892年の西部。
原住民族であるコマンチ族による白人一家の襲撃シーンで物語の幕は開ける。
赤ん坊を含む家族4人を惨殺された生き残りがロザムンド・パイクだ。
その後、映像は一転して、軍隊による原住民の迫害シーンへと移る。
この軍隊を率いているのがクリスチャン・ベイルだ。
オープニングで両極の"HOSTAGES"を見せつけられる。

原住民の勾留地に戻ったクリスチャン・ベイルに言い渡されるのが、友人たちを惨殺したシャイアン族の酋長の故郷への送致だ。
クリスチャン・ベイルの拒否反応と苦悩が激しく描かれる。

この送致の旅には更に途中で、原住民を惨殺してきた死刑囚を加えることになる。

犯人護送のロードムービーはよくあるが、互いに土地を奪いあい、殺し殺された、原住民、白人、黒人、男、女。
フランス人まで交えた旅はまさに多様性の集団だ。
それぞれにどれだけの違いがあるのかを見せつけ、手錠を解き互いの服を着て、の苦悩と心の成長の旅である。

旅の終着点、原住民の美しい故郷は、大きな皮肉に満ちている。
原住民に家族を殺された者が、同じ白人の家族を撃つ衝撃。
この衝動の源は無知や野蛮さから来る差別主義への怒りだ。
生き残る者はあまりに都合がよすぎるが、呪縛を解く選択する主人公には、退役の年齢でも成長する姿を見る。

画面の切り替えの早さや多さから、その展開が速いために、主人公たちの意識の変遷をじっくり味わうという作品ではない。
ただこれは、ウェスタンにドラマ仕立てを望まない観客も想定される中では、致し方ないのかもしれない。
監督の作風なのかもしれないが。

多様性の中で起こる銃から侵略にまで至る争いは、現代でもまったく通じるテーマをウェスタンという古い題材を用いた意欲作であり、また完成度も高い作品である。

原題  HOSTILES

製作国 アメリカ
製作 Grisbi Productions
製作 Waypoint Entertainment
配給 クロックワークス
配給 STAR CHANNEL MOVIES
配給 東北新社

監督 スコット・クーパー Scott Cooper
製作 スコット・クーパー Scott Cooper
製作 ケン・カオ Ken Kao
脚本 スコット・クーパー Scott Cooper
撮影 マサノブ・タカヤナギ Masanobu Takayanagi
プロダクションデザイン ドナルド・グレアム・バート Donald Graham Burt
衣装デザイン ジェニー・イーガン Jenny Eagan
編集 トム・クロス Tom Cross
音楽 マックス・リヒター Max Richter

出演 クリスチャン・ベイル Christian Bale
出演 ロザムンド・パイク Rosamund Pike
出演 ウェス・ステューディ Wes Studi
出演 ジェシー・プレモンス Jesse Plemons
出演 アダム・ビーチ Adam Beach
出演 ロリー・コクレイン Rory Cochrane
出演 ベン・フォスター Ben Foster
出演 ティモシー・シャラメ Timothee Chalamet