蜜蜂と遠雷

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公開日 2019/10/04  118分


★★★★★★★ 7.0


ピアノ・コンクールに挑む4人の若者の物語。
天才と呼ばれながらも母親の死のショックから7年ものブランク経た女性を中心に物語は進む。
それぞれに個性のある4人が、予選から進む過程で、優勝だけではない価値を見いだしていく成長物語になっているのは、予定調和である反面、観客は感情移入しやすく、若者向け作品として成功していると思う。

ただ、主人公が経た出場者たちとの交流は、その再生に寄与しているのかと思いきや、決勝前に逃げ出そうとすることで、結局意味がなかったと明かされるのは、どうだかなあ。

ピアノへの純粋な想いに至れない主人公が、決勝の直前に蘇った母親との記憶によって再生する展開は、あまりにもご都合過ぎる気がする。
些細なきっかけが苦悩を払拭することは解るが、ドラマ的には「それでヨカッタね」とは言い難い。
この蘇った記憶を糧に、審査委員長の言う”覚悟”は出来たのだろうか。

暗闇に降る雨や黒い馬のイメージ映像も解り辛く効果的には感じられなかった。
黒い馬は不吉の象徴が先に立つのだが、このサラブレッドは遺伝する才能の象徴なのか?

解り辛いタイトルは、養蜂家の父を持ち、微かな遠雷を聴きとれる出場者の少年から来ているのか。
はたまた、蜜蜂の微かな羽音から遥かな遠雷に至るまで世界は音に包まれていて、それらは音楽に繋がるという世界観から来ているのか。

音楽、ピアノにもクラッシックにも造詣のない私ではあるが、その迫力には圧倒された。
とくに同じ課題で表現を競うカデンツァ(即興演奏)のシーンが興味深かった。

お笑いキャラが重なるブルゾンちえみと、ステレオ演技に見える鹿賀丈史が残念。
実生活でモギリをしているという片桐はいりはハマり役。鳴り物入りだった監督は、漸くその片鱗をみた感じ。


原題 蜜蜂と遠雷

製作国 日本
製作 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会
製作 東宝
製作 木下グループ
製作 幻冬舎
製作 ソニー・ミュージックエンタテインメント
製作 博報堂
製作 朝日新聞社
製作 ヤマハ
製作 河合楽器製作所
配給 東宝

監督 石川慶 Ishikawa Kei
製作 市川南 Ichikawa Nimani
プロデューサー 佐藤善宏 Sato Yoshihiro
プロデューサー 石黒裕亮 Ishiguro Yusuke
原作 恩田陸 Onda Riku
脚本 石川慶 Ishikawa Kei
撮影 ピオトル・ニエミイスキ Piotr Niemyjski
美術 我妻弘之 Wagatsuma Hiroyuki
編集 石川慶 Ishikawa Kei
編集 太田義則 Ohta Yoshinori
音楽プロデューサー 杉田寿宏 Sugita Toshihiro
演奏 東京フィルハーモニー交響楽団 Tokyo Philharmonic Orchestra
音響効果 柴崎憲治 Shibasaki Kenji

出演 松岡茉優 Matsuoka Mayu
出演 松坂桃李 Matsuzaka Toori
出演 森崎ウィン Morisaki Win
出演 鈴鹿央士 Suzuki Ouji
出演 臼田あさ美 Usuda Asami
出演 ブルゾンちえみ Blouson Chiemi
出演 眞島秀和 Mashima Hidekazu
出演 片桐はいり Katagiri Hairi
出演 光石研 Mitsuishi Ken
出演 平田満 Hirata Mitsuru
出演 アンジェイ・ヒラ Andrzej Chyra
出演 斉藤由貴 Saitou Yuki
出演 鹿賀丈史 Kaga Takeshi