
公開日 2019/06/01 133分
アスガー・ファルハディ監督が、ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムというハリウッド・スターであり、実夫婦である二人を主演に迎えたサスペンス。
夫婦それぞれの故郷では誰もが知っていることも、夫または妻は知らないという、夫婦あるあるを上手くサスペンスに仕立てた監督の手腕は、相変わらずの巧さといえる。
隙のない展開とハリウッド・スターの存在感で、まったく飽きることもない。
何よりも、原題の通りのタイトルが抜群に上手い。
『誰もがそれを知っている』が、知らないことは何なのか?それだけでも、ぐいぐいと引っ張られてしまった。
飽きてしまいそうな結婚パーティを見続けられた要因でもある。
和気あいあいの身内や関係者が、誘拐という突然の災難に我を忘れて踊らされる心理劇はこの監督の真骨頂でもある。
また、喘息に伏線を張って遺伝を見せるなど展開もツボを押さえられている。
ただ、身内の中に犯人に通じる者がいると思わせる緊張感は素晴らしい中で、いきなり明かされる犯人には唐突感は否めない。
サスペンスとしては成功しているものの、そこに比重を掛け過ぎたせいか、娘が父親に投げかける言葉も『別離』や『セールスマン』に比べると重さに欠ける。
皮肉というか難しいところだ。
スペインで誘拐が多いのかどうかは知らないが、犯人が捕まらない結末はどうか。
ラストでの事件の解決は予想できるがハビエル・バルデムが農園を取り戻せるかまでは解らない。
オープニングの教会の鐘は不吉さと共に、村の貧しさも表現しているが、ラストの後の波乱も予想させながら、撒かれる水しぶきの白さで画面を埋め、エンドロールを被せる画も印象的だ。
原題 TODOS LO SABEN
製作国 スペイン
製作国 フランス
製作国 イタリア
製作 Memento Films Production
製作 Morena Films
製作 Lucky Red
配給 ロングライド
監督 アスガー・ファルハディ Asghar Farhadi
製作 アレクサンドル・マレ=ギィ Alexandre Mallet-Guy
製作 アルバロ・ロンゴリア Alvaro Longoria
脚本 アスガー・ファルハディ Asghar Farhadi
撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ Jose Luis Alcaine
プロダクションデザイン クララ・ノタリ Clara Notari
衣装デザイン ソニア・グランデ Sonia Grande
編集 ハイェデェ・サフィヤリ Hayedeh Safiyari
音楽 ハビエル・リモン Javier Limón
出演 ハビエル・バルデム Javier Bardem
出演 ペネロペ・クルス Penelope Cruz
出演 リカルド・ダリン Ricardo Darn
出演 エドゥアルド・フェルナンデス Eduard Fernández
出演 バルバラ・レニー Bárbara Lennie
出演 インマ・クエスタ Inma Cuesta
出演 エルビラ・ミンゲス Elvira Mínguez