鈴木家の嘘

店舗イメージ

公開日 2018/11/16  133分


★★★★★★ 6.0


家族の自死にテーマを絞った作品。 
ショックで記憶をなくした母親に、息子はアルゼンチンで働いていると嘘をつく。
突拍子もない嘘を取り繕っていく展開が、コメディ色を与えているものの、根にある現実を拭うわけもなく、重い作品になっている。

母親の手首の傷、父親の車の割れた窓ガラス、ソープ通い、娘のサークル来る派手なおばさんなど、「フリ」と感じさせる違和感を回収していく演出は初監督作品とは思えないほど巧みだ。
監督自身が家族の自死を経験しているらしい。
映画作家には「自分の歴史を描けば名作になる」という通説もあるので、第1作を本作とした監督(脚本)の今後には注視したい。

兄に『死ねば』と言ってしまった娘を始め、家族の後悔が尽きることはない。
また自死した息子の思い、その真実を知りたい欲求も同様だろう。
叔父の披露宴でバレる嘘。あまりのドタバタには呆れるが、それはそれぞれがいつかはバレる、また明かしたいという思いと、このセレモニーが機会になるという様々な思いが心の底にあったのではないか。

冒頭、人は人を救えないと言う娘と家族。
それでも尚、生きていた頃の息子をなぞり、再生に向かおうとする家族の微かな希望を印象的に映して映画は幕を閉じる。


原題 鈴木家の嘘

製作 松竹ブロードキャスティング
製作 ハーベストフィルム
配給 松竹ブロードキャスティング 
配給 ビターズ・エンド

監督 野尻克己 Nojiri Katsumi
製作 井田寛 Ida Hiroshi
製作 小野仁史 Ono Hitoshi
プロデューサー 近藤貴彦 Kondo Takahiko
エグゼクティブプロデューサー 深田誠剛 Fukada Seigou
脚本 野尻克己 Nojiri Katsumi
撮影 中尾正人 Nakao Masato
美術 渡辺大智 Watanabe Daichi
美術 塚根潤 Tsukane Jun
衣装デザイン 小里幸子 Kosato Yoshiko
編集 早野亮 Hayano Ryo
音楽 明星/Akeboshi Akeboshi

出演 岸部一徳 Kishibe Ittoku
出演 原日出子 Hara Hideko
出演 木竜麻生 Kiryu Mai
出演 加瀬亮 Kase Ryo
出演 吉本菜穂子 Yoshimoto Nahoko
出演 宇野祥平 Uno Syouhei
出演 岸本加世子 Kishimoto Kayoko
出演 大森南朋 Ohmori Nao