ジョジョ・ラビット

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公開日 2020/01/17  109分


★★★★★★★ 7.0


第二次大戦下のドイツを舞台に、ヒトラーを敬愛する少年の物語。
ビートルズの「抱きしめたい(ドイツ語ver.)」のオープニングでヒトラーへの熱狂を映し、本編のブラックを示唆する。
教育が及ぼす子供の志向など、散りばめられた風刺は多く、その表現としての人物造形も豊かである。
心の中のヒトラーが見える少年。
誰にも知られずにいるものの、同様に母親にも同様の素質を窺わせる。母親には夫が見えるようだ。
少年のお腹で蝶が舞いだす初恋のイメージと、靴とコートに象徴された母親のイメージがぶつかるシーンは衝撃的だ。
戦時中の死はこのようにあっけなく、ありふれていたのかもしれない。
子供達の教育係も多面的だ。少年やその周囲を気に掛ける動機となるのは、同性愛的な素質によるものなのか、負傷兵となった境遇によるものか、幾つも推察することができる。
悪魔のように刷り込まれていたユダヤ人像が、アンネを彷彿させる少女との日々の交流によって緩く溶け出していく。

逃げ回り隠れるウサギの強さで生き延びことができた少年と少女。解放された街を見ながらリズムにのって踊り出す…というイメージを観客に委ねて幕を閉じる。鮮やかなエンディングだ。

「母親を亡くした子供のショックが薄い」のはブラック・コメディ的な作品の成り立ちを思うと、ここに没入させることができないのは理解できる。
「セリフが英語なのが違和感。特に言葉が通じない米兵との遣り取りなどで顕著。」については、他人には見えないヒトラーを登場させていることなどから、言語そのものにリアリティを求める必要はないと思う。

ナチスドイツを描いた映画は星のようにあるが、ドイツの市民側からの視点で、現在の描き方として、素晴らしい作品と思う。

主人公の少年はもとより、スカーレット・ヨハンソン、特にサム・ロックウェルが素晴らしい。


原題 JOJO RABBIT

製作国 ドイツ
製作国 アメリカ
製作 TSG Entertainment
製作 Piki Films
製作 Defender Films
製作 Fox Searchlight Pictures
配給 20世紀フォックス映画

監督 タイカ・ワイティティ Taika Waititi
製作 カーシュー・ニール Carthew Neal
製作 タイカ・ワイティティ Taika Waititi
製作総指揮 ケヴァン・ヴァン・トンプソン Kevan Van Thompson
原作 クリスティーン・ルーネンズ Christine Leunens
脚本 タイカ・ワイティティ Taika Waititi
撮影 ミハイ・マライメア・Jr Mihai Malaimare Jr.
プロダクションデザイン ラ・ヴィンセント Ra Vincent
衣装デザイン マイェス・C・ルベオ Mayes C. Rubeo
編集 トム・イーグルズ Tom Eagles
音楽 マイケル・ジアッキノ Michael Giacchino

出演 ローマン・グリフィン・デイヴィス Roman Griffin Davi
出演 トーマシン・マッケンジー Thomasin McKenzie
出演 タイカ・ワイティティ Taika Waititi
出演 レベル・ウィルソン Rebel Wilson
出演 スティーヴン・マーチャント Stephen Merchant
出演 アルフィー・アレン Alfie Allen
出演 アーチー・イェーツ Archie Yates
出演 サム・ロックウェル Sam Rockwell
出演 スカーレット・ヨハンソン Scarlett Johansson