
公開日 2019/11/15 209分
スコセッシによる3時間半のマフィア映画。
デニーロ、パチーノ、ペシ主演のマフィア映画といえば『ゴッドファーザー』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を思い出すが、これはスコセッシ版。
あるトラック運転主の助けによってトラック組合やマフィアの大物へとのし上がっていく男たちの姿が描かれるのだが、ファミリーや大きな野望というよりも、残虐性の強い個の男の物語だ。
デニーロもペシも残虐性が強い。
このため『ゴッドファーザー』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』にどこか見られる歴史的回顧調な格調やロマンではなく、暴力映画の印象が際立っている。
しかも、この3人のコメディ調の遣り取り(待てる時間は10分いや15分が限度とか、「イタ公」と呼びやがったとか)を見ても子供っぽい。
その頑固さゆえに破滅したフォッファ(パチーノ)なのだが、残虐性がなく単純で一本気な気質を、デニーロの娘ペギーは見抜いていたのだろう。
まあそりゃ、「ペンキ屋」と呼ばれるほど人を殺めた人間が、信頼される筈もないが。
自分の性質ゆえに破滅の道を辿った主人公の晩年は厳しい。
神への懺悔を勧められた主人公が語る『電話なんてするわけがない』はパチーノへ危機を告げなかったことを指しているのだろうが、結局はペシにも信頼されずに、パチーノ殺害の実行役に当てられることになったのだ。
このペシの下から飛行機で立って帰ってくるまでの緊張感に満ちた展開は、本作の根幹をなす名場面といえる。ラストの『ドアを少し開けておいてくれ』は、少し開いたドアの向こうにいるパチーノの信頼感への悔恨から来るものなのだろうか。
主人公3人のおじいちゃんの物語は否めないため、どうしても物語は鬱屈としている。
暴発的に殺すデニーロには、かつて『アンタッチャブル』」でバットで殴り殺すアル・カポネのキレはない。
とはいえ、アル・カポネには狂気性、こちらは生まれ持った残虐性と気質の違いもあり、これはこれでいいのかもしれないと思う。
3時間半ではあるが、細かいカットを繋ぐなど、テンポよく見せる場面も多く、長さは感じない。
どちらかというと家族についてなど描き切れていない部分の方が気になる。
原題 THE IRISHMAN
製作国 アメリカ
製作 Tribeca Productions Tribeca Productions
製作 Sikelia Productions Sikelia Productions
製作 Winkler Films Winkler Films
配給 Netflix Netflix
監督 マーティン・スコセッシ Martin Scorsese
製作 マーティン・スコセッシ Martin Scorsese
製作 ロバート・デ・ニーロ Robert De Niro
製作 ジェーン・ローゼンタール Jane Rosenthal
製作 アーウィン・ウィンクラー Irwin Winkler
原作 チャールズ・ブラント Charles Brandt
脚本 スティーヴン・ザイリアン Steven Zaillian
撮影 ロドリゴ・プリエト Rodrigo Prieto
プロダクションデザイン ボブ・ショウ Bob Shaw
衣装デザイン サンディ・パウエル Sandy Powell
衣装デザイン クリストファー・ピーターソン Christopher Peterson
編集 セルマ・スクーンメイカー Thelma Schoonmaker
音楽 ロビー・ロバートソン Robbie Robertson
出演 ロバート・デ・ニーロ Robert DeNiro
出演 アル・パチーノ Al Pacino
出演 ジョー・ペシ Joe Pesci
出演 レイ・ロマノ Ray Romano
出演 ボビー・カナヴェイル Bobby Cannavale
出演 アンナ・パキン Anna Paquin
出演 スティーヴン・グレアム Stephen Graham
出演 ハーヴェイ・カイテル Harvey Keitel
出演 ステファニー・カーツバ Stephanie Kurtzuba
出演 キャスリン・ナルドゥッチ Kathrine Narducci