COLD WAR あの歌、2つの心

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公開日 2019/06/28  88分


★★★★★★★★ 8.0


『イーダ』のパヴェウ・パヴリコフスキ監督作品。
『イーダ』と同様に深い陰影に富んだ映像、1950年代のポーランドの人々や風景の描写が美しい。
政治(戦争)に翻弄されるラブストーリーと言ってしまえば簡単だが、物語はあまりに激しくやるせない。
思い詰めた恋の上で跳躍的な行動をする彼女は魅力的だが破滅的。

昔の邦画でもよく題材となった「破滅的な恋」を彷彿させるが、こちらは東西冷戦が大きな役割を果たすところがミソではある。
まあ支配者階級の横暴さは、国を問わずではあるが。

15年の恋物語を90分に凝縮しているが、テンポが速い訳ではなく、 暗転で1年以上経っていたりという風に、物語がザクザクと切られている。
その上、舞台もポーランド・ベルリン・パリ・ユーゴ…と転々としていくため、「端折りが激しい」という評論を見ていたのだが、深い暗転が長い時間を想像させるため、見ている側が戸惑うということはなかった。

冒頭から描かれる土着の民族音楽が、次第に洗練され、美しくなるにつれて退廃していく。
二人の恋はこの芸術の恐ろしさと並行していく。
芸術家というある意味純粋な職業は、世俗にまみれ、時の経過で想いを風化させることがないのかもしれない。
悲劇的な末路は当初から予感させられるが、誰しも持つであろう破滅的な恋や至高の芸術への憧れの想いは刺激される作品だ。

恋のためなら望まぬ結婚も出産も厭わない。
流転の果てにようやく神に誓うことになるラストは「ファムファタール」らしいハッピーエンドともアン・ハッピーエンドともとれるラストだ。

冷戦がなければ、このような激しい恋も起こりえなかったと思うと複雑ではある。
信憑性には拘らないが、監督の両親へ捧げた作品であり、実話に近い物語らしい。

主人公2人は魅力的。
「オヨヨーー♪」はどういう意味なのだろう。

原題 ZIMNA WOJNA

製作国 ポーランド
製作国 イギリス
製作国 フランス
製作 Opus Film
製作 Apocalypso Pictures
製作 MK2 Productions
製作 Film4
配給 キノフィルムズ

監督 パヴェウ・パヴリコフスキ Pawel Pawlikowski
製作 ターニャ・セガッチアン Tanya Seghatchian
製作 エヴァ・プシュチンスカ Ewa Puszczynska
製作総指揮 ナタナエル・カルミッツ Nathanaël Karmitz
製作総指揮 リジー・フランク Lizzie Francke
製作総指揮 ロヒット・カタール Rohit Khattar
原案 パヴェウ・パヴリコフスキ Pawel Pawlikowski
脚本 パヴェウ・パヴリコフスキ Pawel Pawlikowski
脚本 ヤヌシュ・グロワツキ Janusz Glowacki
脚本 ピョートル・ボルコフスキ Piotr Borkowski
撮影 ウカシュ・ジャル Lukasz Zal
プロダクションデザイン カタジーナ・ソバンスカ Katarzyna Sobanska
プロダクションデザイン マルセル・スラヴィンスキ Marcel Slawinski
編集 ヤロスワフ・カミンスキ Jaroslaw Kaminski

出演 ヨアンナ・クーリク Joanna Kulig
出演 トマシュ・コット Tomasz Kot
出演 アガタ・クレシャ Agata Kulesza
出演 ボリス・シィツ Borys Szyc
出演 ジャンヌ・バリバール Jeanne Balibar
出演 セドリック・カーン Cedric Kahn