友罪

店舗イメージ

公開日 2018/05/25  128分


★★★★★★ 6.0


描き切れていない部分が多く、咀嚼できない部分が咽喉に引っ掛かる。

生田斗真と瑛太の直近の過去の描写が薄いため、何故この町工場に来たのかが見えない。

生田斗真は、過去の体験に苦しみながらも、なぜ一度はジャーナリスト志望に燃えたのか。
そこが見えないため、その挫折も町工場に転職した落差も理解し辛い。
友人の母親の死に際に独り善がりの告白をするという、新たな消せない罪に至る理由も解らない。

瑛太は元教師に対して居場所は教えられないという。
その信頼度が計り辛く、裸像を持っていた経緯も説明されていないため関係性も理解し辛い。
瑛太の少年時代の性癖を表現する必要もあったのかと理解に苦しむ。

そんな中で新たな殺人事件を描く意図は何だったのだろう。
瑛太が犯人では、という疑念を想起させる描写もなく、生田斗真が疑う素振りもないまま、結局真犯人の素性さえ知れない。

その生田斗真と瑛太のパートと、佐藤浩市のパートが並行して描かれる構成なのだが、息子が無免許運転で数人もの人を轢き殺した男の父親が佐藤浩市である。
人を殺めた者が一般人と同様の暮らしをすること、幸福を追うことの是非を多角的に描くために配置された二つのストーリーなのだろうが、並行しながらも交わることなく完結してしまうため、纏まった鑑賞感を得ることができない。

「友罪」という造語をタイトルにした以上、主題は生田斗真と瑛太の物語なのだろう。 本線に絡まない佐藤浩市のパートは家族の物語であり、教師である富田靖子と堕胎した娘も家族の物語である。

瑛太との別れを決意した夏帆の向かう先も知れない。

波紋を広げに広げたそれぞれの物語は、ようやく過去の自分と向き合えた二人の原点回帰的な表現と心の繋がりを見せて終わるが、 答えのない問いかけを咀嚼するだけの布石は、物語の中に打たれてはいない。

原題 友罪

製作国 日本
製作 「友罪」製作委員会
製作 WOWOW
製作 ハピネット 
製作 ギャガ  GAGA Corporation
製作 ジェイ・ストーム
製作 ツインズジャパン
配給 ギャガ GAGA Corporation