寝ても覚めても

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公開日 2018/09/01  119分


★★★★★★★★ 8.0


評判の濱口竜介監督作品を初見。

冒頭いきなりのキスから恋に落ちる展開には「うーん。これはどうかな。」と訝ったが、次第にのめり込むように観てしまった。

パンを買いに行ってくると主人公から離れていく"引き"の映像。 心が離れていく表現。

バイクの事故後に路面に横たわる俯瞰の映像。
異常な状況での恋の高まり。

川沿いを追いつ追われつ走る二人のロングの映像。
遠景の中の点のような動きで必死さを伝える。

所々の要所で、映像で語る描写に並々ならぬ才能を感じた。

タイトル『寝ても覚めても』の意味は終盤に語られるが、寝ても覚めても恋してる…ような単純なものではない。
現実に引き戻される瞬間、それまでが夢だったような瞬間が繰り返される。
また車中で眠ってしまい、頬をピシャピシャ叩いての「ごめん」は 眠ってしまったことに対してではなく、見てはいけないはずの彼の夢に対してなのだろう。
あとは、まあそりゃ、東北で堤防を知らない、無知さには覚めるよね。
瓜二つの人間を好きになるという定型的な物語ではあるが、人が人を好きになるきっかけや理由が掘り下げられ、それに対する対照的な二つの見解も描かれている。

感情移入しづらく最低な女ではあるが、どこか理解できる主人公の性格は、応援する大阪の友人、絶交する友人が端的に表している。

原作にはないという 3.11 に纏わるエピソードは、映画が時代を映すものであり、亮平の地に足のついた骨太なキャラクターを表現するために必要だったと思う。
唐田えりかと東出昌大(の片方)の特徴的で平面的な演技は指導なのだろうが、感情が薄い分、台詞を読むような感覚で聴くことができた。

ラストの「許されると思っていないから謝らない」
「お前のことを一生信じられない」という台詞。
「きったない川やで」「でもきれい」という台詞。
恋は夢でも、愛は夢ではない。
物語冒頭の「スキ、スキ」だけの恋愛ではなくなった二人に、愛の深みと見えない物語の行方を見せて物語は終わる。

原題 寝ても覚めても

製作国 日本
製作 映画「寝ても覚めても」製作委員会
製作 COMME DES CINEMAS COMME DES CINEMAS
製作 メ~テレ
製作 ビターズ・エンド  Bitters End, Inc.
製作 C&Iエンタテインメント C&I Entertainment.
配給 ビターズ・エンド Bitters End, Inc.
配給 エレファントハウス Elephant House Co,. Ltd.

監督 濱口竜介 Hamaguchi Ryusuke
原作 柴崎友香 Shibasaki Tomoka
脚本 田中幸子 Tanaka Sachiko
脚本 濱口竜介 Hamaguchi Ryusuke
撮影 佐々木靖之 Sasaki Yasuyuki
美術 布部雅人 Nunobe Masato
衣装デザイン 清水寿美子 Shimizu Sumiko
編集 山崎梓 Yamazaki Azusa

出演 東出昌大 Higashide Masahiro
出演 唐田えりか Karada Erika
出演 瀬戸康史 Seto Kouji
出演 山下リオ Yamashita Rio
出演 伊藤沙莉 Ito Sairi
出演 渡辺大知 Watanaba Daichi
出演 仲本工事 Nakamoto Kouji
出演 田中美佐子 Tanaka Misako
出演 米村亮太朗 Yonemura Ryotaro
出演 占部房子 Urabe Fusako
出演 村上かず Murakami Kazu