
公開日 2019/5/3 123分
恋愛ドラマ、愛憎劇と思っていたら、途中からミステリ色がどんどん濃くなっていく。
原作者もチェックしていなかったのだが、このようなイメージで本作を捉えている人は案外多いのではないか。
ドSでクレーマーで浮気者の蒼井優は、ドMで野卑な阿部サダヲに寄生して生活している。
一方、蒼井優を利用目的、身体目的で近づくイケメンに竹野内豊、松坂桃李。
とてもじゃないが共感できない主人公に、次第に魅入られていき目が離せなくなる。
この展開の上手さが本作の肝である。
蒼井優の大阪弁全開のクレームに対して、イケメンたちは標準語。
これって暗に大阪をディスってないか?
地下鉄に飛び乗って押し込んで来る男をホームに突き飛ばすシーン。
阿部サダヲの瞬時の狂気と思い詰めた表情を見せることで、観客のミスリードを誘っているのであるが、このような"あざとい"演出が嫌いだ。
この"演出"と見える演出をすることで、演出家までが嫌いになってしまう。
ラストの閉ざされていた過去(記憶)が噴出するシーンは素晴らしい。
回顧シーンに感情移入させられてしまうため、阿部サダヲの取る行動にも説得力を持つが、それでもなお、死の選択にはスッキリとはしない。
生き残れば懲役は免れないものの、松坂桃李は死んでいない筈で、以前の殺人が暴かれるとも思えない。
鳥たちと化して飛翔するラストの劇的さは買うが、 ここまで蒼井優に執着してきた男が、最後に蒼井優との生に執着しない、できない必然性が見え辛いのは残念だ。
原題 彼女がその名を知らない鳥たち
製作国 日本
製作 映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
製作 クロックワークス
製作 日活
製作 テレビ大阪
製作 朝日放送
製作 C&Iエンタテインメント
配給 クロックワークス
監督 白石和彌 Shiraishi Kazuya
企画・プロデューサー 西口典子 Nishiguchi Noriko
製作 藤本款 Fujimoto Itaru
製作 永山雅也 Nagayama Masaya
製作 深瀬和美 Fukase Kazumi
原作 沼田まほかる Numata Mahokaru
脚本 浅野妙子 Asano Taeko
撮影 灰原隆裕 Haibara Takahiro
衣装デザイン 高橋さやか Takahashi Sayaka
編集 加藤ひとみ Kato Hitomi
音楽 大間々昂 Ohmama Takashi
出演 蒼井優 Aoi Yu
出演 阿部サダヲ Abe Sadao
出演 松坂桃李 Matsuzaka Toori
出演 村川絵梨 Murakawa Eri
出演 赤堀雅秋 Akahori Masaaki
出演 赤澤ムック Akazawa Muck
出演 中嶋しゅう Nakajima Shu
出演 竹野内豊 Takenouchi Yutaka