
公開日 1963/04/27 132分
サイコ・スリラーの一級品。
『サイコ』の公開から2年後にあたる作品で、製作側は当初ヒッチコックの起用を目論んでいたが、スケジュールの都合によりロバート・アルドリッチ監督となったらしい。
とはいえ、アルドリッチ演出は素晴らしく、映画史にも残るほどの作品となった。
また物語のみならず、ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの2大女優の激突として観ても面白い。
特にベティ・デイヴィスが演じる異常者、美女の老醜は鬼気迫る迫力がある。
年増女の装うロリータ・ファッションは、ベティ・デイヴィスが主張したというモノクロでこそ生きると思う。
このフリフリ・ファッションはカラーでは生々し過ぎて別次元の話に見えてしまう。
ジョーン・クロフォードは妹の異常性を受ける演技のために割を食っているが、確りとした演技で魅せる。
姉が2階に幽閉されている設定から物語は始まるために、なぜ2階なのか?と作為的な印象を受けてしまう。
幽閉された理由は幾らでも見つけられる筈なので少しは説明が欲しかった。
この作品以降の2人の仲の悪さは有名で、実際に数々のエピソードが残されているらしい。
劇中、デイヴィスがクロフォードを蹴り続けるシーンではカットが掛かっても止めなかったとか、
元ペプシコ会長夫人であるクロフォードに対して、デイヴィスが撮影所の自販機をコカコーラに変えさせたとか。
オスカー候補になったデイヴィスの反対キャンペーンを行っていたクローフォードが、授賞式でアン・バンクロフトの代理としてオスカーを受け取ったなど、野次馬的に興味深いエピソードが残っている。
このため後に、スーザン・サランドンがデイヴィス役、ジェシカ・ラングがクロフォード役でのTVドラマ化もされたらしい。
作品の展開については、オープニング・タイトルの前の2つのエピソードが効いており、これが本編での2人の性格の印象を導いている。
2人は観客の予想通りに成長する訳で、当然ながら姉に感情移入し、隣人や医者、メイドや来訪者のピアニストに助けを求める。
そうしてラストにどんでん返しの告白が待ち受けているのだ。
ただ、このどんでん返しにも布石はきちんと打たれており、なるほどねと思う。
スリルの楽しさ、演劇の迫力のみならず、虚栄心の愚かさや名声の儚さをも考えさせられる作品である。
原題 WHAT EVER HAPPENED TO BABY JANE?
製作国 アメリカ
製作 The Associates & Aldrich Company
製作 ワーナー・ブラザース
製作 Seven Films
配給 ワーナー・ブラザース
監督 ロバート・アルドリッチ Robert Aldrich
製作 ロバート・アルドリッチ Robert Aldrich
製作総指揮 ケネス・ハイマン Kenneth hyman
原作 ヘンリー・ファレル Henry Farrell
脚色 ルーカス・ヘラー Lukas Heller
撮影 アーネスト・ホーラー Ernest Haller
衣装デザイン ドナ・バーウィック Donna Berwick
音楽 フランク・デ・ヴォール Frank De Vol
出演 ベティ・デイヴィス Bette Davis
出演 ジョーン・クロフォード Joan Crawford
出演 ヴィクター・ブオノ Victor Buono
出演 アンナ・リー Anna Lee
出演 メイディ・ノーマン Maidie Norman