
公開日 2015/05/30 113分
河瀬直美監督作品を初鑑賞。
この監督に対する評価や噂、またラジオパーソナリティを聞くに及んで、かなりの(良からぬ)偏見を持っていたのは確かだ。
今回、樹木希林さんの訃報に際して、鑑賞しようという気にならなければ、観ることもなかっただろう。
「映画は作者ではなく、作品単体で評価すべき」というのは常識から逸れていた。
作品は「卒がない」という印象。違和感を感じるシーン、演出がなく、職人という風格さえ感じた。
何よりも抑制の効いた演出に驚いた。
オープニング、エンディングの桜並木。葉桜、小豆、どれも過剰に美しく描かれない。同様に樹木希林の手についても過剰に描かれない。
ストーリーも女子高生が家出に踏み切るほどの家庭事情は想像の域を出ないし、樹木希林の過去の苦難もあからさまに描かれない。
殊更に説明せず、観客の感性に委ねる演出は昔の邦画のように楽しむことができた。
い。
映像派と聞いていたが、印象的な映像は、おそらく加工映像の満月くらいだ。
映像よりも、音、音楽が印象的で、冒頭の主人公の足を引き摺る音から始まり、情感的な音楽も印象的だった。
樹木希林の存在感は予想通り。永瀬正敏も固い印象。女子高生役の喋り方は演出なのだろうが、役に沿っていて良かった。そういう意味でも、演出は的確なんだろう。
取り上げる題材も、描き方にも作家性がしっかりある。
暗く辛いストーリーであるにも関わらず、希望を覗かせるエンディング。
作品によって、評価の波が激しい監督であるが、本作は評価の高いのも頷ける良作だと思う。
製作国 日本
製作国 フランス
製作国 ドイツ
製作 映画「あん」製作委員会
製作 COMME DES CINEMAS
製作 TWENTY TWENTY VISION
製作 MAM
製作 ZDF-ARTE
配給 エレファントハウス Elephant House Co,. Ltd.
監督 河瀬直美 Kawase Naomi
製作 福嶋更一郎 Fukushima Kouichirou
製作 澤田正道 Sawada Masamichi
製作 大山義人 Ohyama Yoshito
原作 ドリアン助川 Durian Sukegawa
脚本 河瀬直美 Kawase Naomi
撮影 穐山茂樹 Akiyama Shigeki
美術 部谷京子 Heya Kyouko
編集 ティナ・バス Tina Baz
主題歌 秦基博 Hata Motohiro
出演 永瀬正敏 Nagase Masatoshi
出演 樹木希林 Kiki Kirin
出演 内田伽羅 Uchida Kyara
出演 市原悦子 Ichihara Etsuko
出演 太賀 Taiga
出演 兼松若人 Kanematsu Wakato
出演 浅田美代子 Asada Miyoko
出演 水野美紀 Mizuno Miki