遙かなる山の呼び声

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公開日 1980/03/15  124分


★★★★★★★ 7.0


なぜだか『幸福の黄色いハンカチ』が苦手だ。
その前日談的な趣の本作が私の好みだ。
世間的は圧倒的に『幸福の…』支持なのだろうが。
ちなみに「黒澤明の選んだ100本(文藝春秋)」では、『幸福の…』 ではなく本作が選ばれていてホッとしている。

北海道の自然とそこで暮らしていくことの厳しさ。
武田鉄也の台詞「なんか可哀相なんだよな。あの姉さん。」を体現する倍賞千恵子のいじらしさがいい。
悪役からコロッと転じるハナ肇3兄弟やラストの列車のシーンに、"ザ・作為的"感は否めないものの、渥美清を起用していることなどから、人情劇として作為している向きもあるのだろう。

以前に「なぜ、わざわざ目立つ競馬場に行ったのか?」という質問に対して、監督は「捕まりたいという気持ちがどこかにあった」という回答をしていたと思う。
競馬場で刑事から逃げるシーンなどからは、その表現は汲み取り難いが、競馬場に行くこと自体で主人公の心の揺らぎを表現しているのだろう。

脇役としては鈴木瑞穂の存在感は流石。
その短い出演シーンで高倉健を食ってしまう程だ。

なにはともあれ、「遙かなる山の呼び声」は私にとって『シェーン』の主題曲だ。
なので、『シェーン』と同じラストを迎えるのかと思ったら、後日談があるのがミソ。
情緒的なエピソードを加えるのも日本映画らしさだと良い方に解釈している。

製作国 日本
製作 松竹
配給 松竹

監督 山田洋次 Yamada Yoji
製作 島津清 Shimazu Kiyoshi
脚本 山田洋次 Yamada Youji
脚本 朝間義隆 Asama Yoshitaka
撮影 高羽哲夫 Takaba Tetsuo
美術 出川三男 Degawa Mitsuo
編集 石井巌 Ishii Iwao
音楽 佐藤勝 Satoh Masaru

出演 高倉健 Takakura Ken
出演 倍賞千恵子 Baisyo Chieko
出演 吉岡秀隆 Yoshioka Hidetaka
出演 ハナ肇 Hana Hajime
出演 鈴木瑞穂 Suzuki Mizuho
出演 木ノ葉のこ Konoha Noko
出演 畑正憲 Hata Masanori
出演 武田鉄矢 Takeda Tetsuya