カメラを止めるな!

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公開日 2018/06/23  96分


★★★★★★★ 7.0


タイトル通り、37分の長回しを"枷(かせ)"にゾンビ映画の製作風景を映した作品。
鑑賞前の情報収集はしない方が面白く観られる気配があったため、事前の知識は"37分の長回し"と"ゾンビ映画の撮影中に本物のゾンビが現れる"という曖昧な情報のみだった。
様々な映画サイトでは高評価を得ているのは知っていたのだが、オープニングからの手作り感やチープ感、呆れてしまうほどのクサい芝居とその展開、テンポから「これは選択を誤ったかも…」とマジで思った。

しかしながら、それらをすべて"前フリ"にした怒涛のような終盤は「面白い!」の一言に尽きる。
そうか、こういう作品だったのか、うまいな、練られているな、と。
こうなると、37分間のヘタな長回しも感動のタネになる。

資金のなさをアイデアで見事に覆すという作品に出くわすことがたまにある。
それは何年かに1度という希少価値ではあるが本作もそれにあたる。
有名俳優が出ていないのも上手く効いている。
あざとい演出も無きにしもあらずではあるが、映画(TV)に関わるスタッフの映画愛が疾走する中では目も瞑れる。

『ハン・ソロ』の豪華絢爛なアクションの次の鑑賞であったが、B級いやC級な本作もまた優れた作品。
TV鑑賞で十分という意見もあるだろうが、映画の多様性を存分に楽しめた。
楽屋落ちと揶揄されようが、映画好きには愛しい作品だろう。

余談になるが、その昔、私は相米慎二監督の『雪の断章 -情熱-』の冒頭15分の長回しに度肝を抜かれた覚えがある。
この作品で新たな観客層が撮影の技法や効果を知ることになれば、それも映画の裾野を広げる一つの波及効果になるだろう。

製作国 日本
製作 ENBUゼミナール・シネマプロジェクト
配給 ENBUゼミナール・シネマプロジェクト 

監督 上田慎一郎
プロデューサー 市橋浩治 Ichihashi Kohji
脚本 上田慎一郎 Ueda Shinichirou
撮影 曽根剛 Sone Takeshi
編集 上田慎一郎 Ueda Shinichirou
音楽 永井カイル Nagai Kaeru
特殊造形/特殊メイク 下畑和秀 Shimohata Kazuyuki

出演 濱津隆之 Hamatsu Takayuki
出演 真魚 Mao
出演 しゅはまはるみ Syuhama Marumi
出演 長屋和彰 Nagaya Kazuaki
出演 細井学 Hosoi Manabu
出演 市原洋 Ichihara Hiroshi
出演 山崎俊太郎 Yamazaki Shuntaro
出演 大沢真一郎 Osawa Shinichirou
出演 竹原芳子 Takehara Yoshiko
出演 吉田美紀 Yoshida Miki