魔術師

店舗イメージ

公開日 1975/07/05  99分


★★★★★★ 6.0


怪しい怪しい魔術師一座。
馭者を含めて4人の馬車は一座というよりも一家に近い。

その胡散臭さへの好奇心と権威を見せびらかしたい役人は一座を検閲所に留め置く。

神に対しても懐疑的なベルイマンだもの。
魔術=まやかしの雰囲気は端から根底に流れている。

とはいえ、役人も科学者も魔術を心底否定できている訳ではない。
「え、魔術マジ?」ともなる。

魔術師は人を殺すことはできても、人の生死を操れるわけではない。
つまりはただの人なのだが、人が信じ怖れる(と思われる)力を持つ故に一種の神的な存在だ。
それだけに人生への深い造詣があるのかと思えば、これが実は薄っぺらい。
死体を使うなんて平気。

窮地に陥った一座は、魔術でもない国王という大きなチカラに救われる。
結局それは、神の力でも魔力でもなく権力のチカラだ。

役人の軽薄さと、その軽薄な役人にさえ命を左右される民衆と、最後には国王のチカラもオチにするという風刺の効いたラストは本作があくまでコメディであることを決定づける。
ドリフのコントの屋台崩し的な演出であるが、あまりの急展開にポカンとしてしまった。

原題 ANSIKTET

製作国 スウェーデン
製作 Svensk Filmindustri i
配給 International Promotion (IP)

監督 イングマール・ベルイマン Ingmar Bergman
脚本 イングマール・ベルイマン Ingmar Bergman
撮影 グンナール・フィッシェル Gunnar Fischer
音楽 エリック・ノードグレーン Eric Nordgren

出演 マックス・フォン・シドー Max Von Sydow
出演 イングリッド・チューリン Ingrid Thulin
出演 ナイマ・ウィフストランド Naima Wifstrand
出演 ビビ・アンデショーン Bibi Andersson
出演 グンナール・ビョルンストランド Gunnar Bjornstrand
出演 ビルギッタ・ペテルスン Brigitta Pettersson