
公開日 2017/10/27 163分
本年度最大の注目作とも呼ばれる作品。
リドリー・スコットは監督を降り、ドゥニ・ヴィルヌーヴが引き継ぐことになった。
リドリー・スコットは『エイリアン』シリーズの監督には復帰しているのに、こっちはやらないんだ。思い入れが薄いのか?
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は今春の『メッセージ』に続いて今年2作目。
大作の監督で年に2作品は珍しい。
今や最もハリウッドでも指折りの鬼才である。
私自身、『灼熱の魂』(2011年)以来、見逃せない監督になっている。
作品の世界観、映像などは前作の『ブレードランナー』をあくまで踏襲している。
それはアンドロイドが求めるアイデンティティであり、魂ともいえる"人間らしさ"の追及でもある。
本作にも当然ながら批判はあって、それは前作の「レプリカントの寿命は4年」という縛りがなくなったことであったり、これにより、身近に迫る死への恐怖がなくなってしまった。
そして何よりも評価の分かれるのが、ネタバレになってしまうが、レイチェルが子供を宿していたという設定である。
確かに予想もしなかったビックリの設定である。
ただ、主人公のブレードランナーでありレプリカントのK(ライアン・ゴズリング)の、それまで感情を顕わにせず、無機質にルールに従って仕事をし、家に帰ってはAIの女性にやすらぎを求める単調な生活が、"自分こそがその子でありたい"という切ない願いによって、次第に揺れ幅を増していき、掟破りの行動を取り始める。
自分の存在が特別なものでありたい、自分が価値あるものでありたいという切ない欲求は、観客の感情の感情移入を煽りながら転がっていく。
前作のレプリカント(ルトガー・ハウアー)の生への固執の描写を経て、新たなレプリカントの自我の欲求もまた心を打つものがある。
前作のブレードランナー=デッカード(ハリソン・フォード)はレプリカントではないことがハッキリした。
だが新たに散り散りになった物語も多く、それらは置き去りにされている。
新型レプリカントの開発者ウォレスのその後、レプリカントの地下組織(レジスタンス部隊)の動向などの大きな背景は放置されたままである。
更に次作があるのだろうか?
ホログラムから次第に肉体を得ていくAIのジョイを演じるアナ・デ・アルマスは、まさに世界共通の理想の可愛さを体現している。
理想の彼女を演じるAIの危うさは『her』を始めとして、近年多くの映画で語られており、既視感の強い役柄なのだが、そのルックスでもって見事にこなしている。
前作から引き継がれているディストピアな世界観は、その荒廃した外界を描くことで更に退廃感が増している。
前作のラストに脱出した二人を迎える緑の世界はもうないことが示される。
しかしそんな中、ラストに降り続く白い雪は、人間もレプリカントもなく、生を受けしものの、儚さを描いた詩的なエンディングだ。
原題 BLADE RUNNER 2049
製作国 アメリカ
製作 Alcon Entertainment
製作 コロムビア映画 Columbia Pictures
製作 ソニー Sony
配給 ソニーピクチャーズエンターテインメント Sony Pictures Entertainment Japan lnc.
監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ Denis Villeneuve
製作 アンドリュー・A・コソーヴ Andrew A. Kosove
製作 ブロデリック・ジョンソン Broderick Johnson
製作 バッド・ヨーキン Bud Yorkin
製作総指揮 リドリー・スコット Ridley Scot
製作総指揮 ティム・ギャンブル Tim Gamble
原案 ハンプトン・ファンチャー Hampton Fancher
脚本 ハンプトン・ファンチャー Hampton Fancher
脚本 マイケル・グリーン Michael Green
撮影 ロジャー・ディーキンス Roger Deakins
プロダクションデザイン デニス・ガスナー Dennis Gassner
衣装デザイン レネー・エイプリル Renee April
編集 ジョー・ウォーカーJoe Walker
音楽 ハンス・ジマー Hans Zimmer
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ Benjamin Wallfisch
視覚効果監修 ジョン・ネルソン John Nelson
視覚効果監修 ポール・ランバート Paul Lambert
キャラクター創造 フィリップ・K・ディック Philip K. Dick
出演 ライアン・ゴズリング Ryan Gosling
出演 ハリソン・フォード Harrison Ford
出演 アナ・デ・アルマス Ana de Armas
出演 マッケンジー・デイヴィス Mackenzie Davis
出演 シルヴィア・フークス Sylvia Hoeks
出演 レニー・ジェームズ Lennie James
出演 カルラ・ユーリ Carla Juri
出演 ロビン・ライト Robin Wright
出演 ショーン・ヤング Sean Young
出演 デイヴ・バウティスタ Dave Bautista
出演 ジャレッド・レトー Jared Leto
出演 ウッド・ハリス Wood Harris
出演 デヴィッド・ダストマルチャン David Dastmalchian
出演 ヒアム・アッバス Hiam Abbass
出演 エドワード・ジェームズ・オルモス Edward James Olmos
出演 バーカッド・アブディ Barkhad Abdi