
公開日 2017/10/27 104分
アメリカでは総じて「黒人差別社会を批判した傑作」と評される作品だ。
監督・脚本のジョーダン・ピールは黒人のコメディアンだそうで、彼自身の体験や普段の想いがベースになっているらしい。
黒人の主人公が白人の恋人の両親の家に挨拶に行くという話がベースなのだが、その両親の家の雰囲気がどこか怪しい。
その怪しさは次第に増幅していき…という物語の内幕は想像以上にキテレツだった。
このぶっ飛び具合や、遥か昔の怪奇映画を彷彿させるストーリーはコメディの類なのだろう。
一見、ベタベタな作品だが、この作品が評価される上手さは、観客それぞれの中にある肌の色への差別感、人種差別の視点を顕わにさせるところにある。
冒頭から伏線が張られているのであるが、この作品は黒人への侮蔑的な内容の作品ではない。
観客は自分の差別的な感情で物語を追ってしまう。
彼女の父親がオバマの支持者と聞いて「いや、怪しいぞ」と思ってしまったら、この作品の罠に嵌っている。
そう思ってしまうこと自体が、自分自身の根底にある差別意識を顕わにされているのだ。
トンデモ的な展開に惑わされることなく、そこに気づかなくてはいけない。
観客自身の内面を突きつけるという、コメディの皮を被ったシリアスなドラマとも言えるだろう。
ただ、人種差別の意識の薄い日本人に、欧米人と同様の反応があるかは疑問だ。
人種の壁を題材にしたスリラーやショッカーと受け取られるかもしれない。
キャストは全員初見だが、この作品でスターは必要でないと思うし、フラットな疑わしさを演出するにはよかったと思う。
原題 GET OUT
製作国 アメリカ
製作 ユニバーサル映画 Universal Pictures
製作 Blumhouse Productions
製作 QC Entertainment
配給 東宝東和 TOHO-TOWA Co.,Ltd.
監督 ジョーダン・ピール Jordan Peele
製作 ショーン・マッキトリック Sean McKittrick
製作 ジェイソン・ブラム Jason Blum
製作総指揮 レイモンド・マンスフィールド Raymond Mansfield
製作総指揮 クーパー・サミュエルソン Couper Samuelson
脚本 ジョーダン・ピール Jordan Peele
撮影 トビー・オリヴァー Toby Oliver
プロダクションデザイン ラスティ・スミス Rusty Smith
衣装デザイン ナディーン・ヘイダーズ Nadine Haders
編集 グレゴリー・プロトキン Gregory Plotkin
音楽 マイケル・エイブルズ Michael Abels
出演 ダニエル・カルーヤ Daniel Kaluuya
出演 アリソン・ウィリアムズ Allison Williams
出演 ブラッドリー・ウィットフォード Bradley Whitford
出演 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ Caleb Landry Jones
出演 スティーヴン・ルート Stephen Root
出演 キャサリン・キーナー Catherine Keener
出演 レイキース・スタンフィールド Lakeith Stanfield