サイレント・ランニング

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公開日 1986/09/16  90分


★★★★★★ 6.0


70年代のSFでいまだにテレビ放映(NHK-BS)されるということは、それだけ支持される理由があるのだろう。
SFだけに今から見ると、セットが古いのは仕方ないものの、本作が狙った「詩的な映像」はある程度成功していると思う。

その根幹は自然回帰への願望であり、製作された時代背景の影響もあるのだろうが、現代でも通用するテーマだろう。その究極の形に至る結末は、文明を痛切に批判する。
自然破壊の末に壊滅にまで至らしめる人間は、最早自然の中では不要とさえ結論づけられる。そして人間のいないノアの方舟は静かに宇宙を漂っていく。

自然を守るために仲間まで殺める主人公に違和感を覚える人もいるだろうが、ラストを見た時に、結局は自然を愛し守ろうとする主人公さえ人間の醜さを描くパーツなのだと解る。
ただ、人間達の行動理由が解り辛かったり、表現が拙かったりと、舌足らずな部分が本作を万人の名作たらしめない理由だと思う。

後半からはブルース・ダーンの一人芝居。
科学者としては微妙。植物が枯れていく原因が太陽光だと気づかない科学者に驚く。
ドローンと呼ばれるロボットの造形はなかなかよくて、本作の成功に大きく寄与している。

織り込まれるジェーン・バエズの歌などに時代色を感じるものの、ロボットと自然だけのサイレント・ランニングに絶望感はない。
詩的なエンディングこそが本作の魅力。

原題  SILENT RUNNING

製作国 アメリカ
製作 ユニバーサル映画 Universal Pictures
製作 Trumbull/Gruskoff Productions
配給 ケイブルホーグ

監督 ダグラス・トランブル Douglas Trumbull
製作 ダグラス・トランブル Douglas Trumbull
製作 マイケル・グラスコフ Michael Gruskoff
脚本 デリック・ウォッシュバーン Deric Washburn
脚本 マイケル・チミノ Michael Cimino
脚本 スティーヴン・ボチコー Steven Bochco
撮影 チャールズ・F・ホイーラー Charles F. Wheeler
音楽 ピーター・シッケル Peter Schickele
主題歌 ジョーン・バエズ Joan Baez

出演 ブルース・ダーン Bruce Dern
出演 クリフ・ポッツ Cliff Potts
出演 ロン・リフキン Ron Rifkin
出演 ジェシー・ヴィント Jesse Vint
出演 ジョセフ・キャンパネラ Joseph Campanella
出演 ロイ・エンゲル Roy Engel