牯嶺街少年殺人事件(クーリンチェ少年殺人事件)

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公開日 2017/03/18  236分


★★★★★★★ 7.0


3時間56分休憩なし。もう暑い時期なのだが、鑑賞前に水分控えるなど準備は万端。ただ、インターミッションは入れろよ。3時間22分の『沈まぬ太陽』ですらあったぞ。しかも料金は2本分の2,000円。
集中力が切れる時もあったが、とはいえ、それほどの長さは感じなかった。

60年代の台湾が舞台。当時の時代背景を全く知らない私は、事前に『「眷村」や「二二八事件」程度の知識はあった方がいい』というネットの書き込みを見て準備していた。
確かにその書き込み通り、主人公の家族の住む家屋が日本家屋っぽい、日本刀が出てくるなどの日本の関わりや、中国からの移民の意味、アメリカへの憧れなどを理解するのに助けられた。
水平服をイキって着た姿には、「石原裕次郎かよ」と心の中で呟いしまったが、その視野が狭く幼い感覚はよく解る。それも青春だ。

物語は実際に起きた事件を元に描かれているため、結末は見えているのだが、分かっていても引き込まれる魅力がある。
屈折した青春映画。
許される事件ではない。
『社会は不公平だ。』この言葉に揺れない人にはつまらない作品かもしれない。だが少しでも共感してしまう人には魅力に満ちた作品だと思う。

主人公は多感。その生活圏は狭い狭い。その狭い社会は混沌としている。やくざ的な派閥争い。主人公が憧れる少女には娼婦と少女の二面性がある。自分の魅力を自覚し、生活するための大人びた手法を楽しむ性格と、その一方で純愛を渇望する彼女なりの葛藤を、少年には理解できない。
その中で主人公は徐々に徐々にドロップアウトしていく。
少年ならでは、また、この土地、この時代ならではの熱や焦りは、大人達がこの国に夢見た熱や、そうはならなかった焦燥感や失望感を背景にしている。

悪童達が教室に乗り込んできたりするシーンは、日本にいても、なんか思い出す。
お行儀がよくなった現在の日本の学校ではないんだろうな。
なので、昔感覚の青春映画になるかもしれない。面白いけど。

原題  牯嶺街少年殺人事件  A BRIGHTER SUMMER DAY

製作国 台湾
製作 Jane Balfour Films
製作 Yang & His Gang Filmmakers
配給 ビターズ・エンド Bitters End, Inc.

監督 エドワード・ヤン Edward Yang
脚本 エドワード・ヤン Edward Yang
脚本 ヤン・ホンカー Hung Hung
脚本 ヤン・シュンチン Alex Yang
脚本 ライ・ミンタン Lai Mingtang
撮影 チャン・ホイゴン Huigong Li
編集 チェン・ポーエン Chen Po-Wen

出演 チャン・チェン Chang Chen
出演 リサ・ヤン Lisa Yang
出演 チャン・クォチュー Kuo-Chu Chang
出演 エイレン・チン Elaine Jin
出演 チャン・ハン Han Chang