公開日 1983/05/28 123分
「メリークリスマス！」と叫ぶ狂気的な笑顔のラストショット。
たけし演じる将校は無軌道で狂気的な行動ぶりの反面で、兵士の死後の国の扱いを慮るなどの常識振りも見せる。
物語の最後で、静かに死を覚悟していたと言うこの男には、それまでと全く異なった朴訥とした印象さえ受ける。
つまりは自分の狂気を自覚していたのだ。いや、戦争という狂気の中で正常を保つために狂気に酔っていたのだろう。
物語中に酔っ払って『メリークリスマス』というのに対して『狂っている』と評した英国軍将校の言葉は正しい。
逆にその狂気の中で正気を保とうとした坂本龍一が、デビッド・ボウイの愛に触れて、狂ってしまう。
過去の記憶から逃れるように戦場にきたデビッド・ボウイは、その育ちの良さからの毅然とした態度を示すが戦場の不条理の中ではアウトロー化している。
そしてその忌まわしい記憶からの逃げ場はどこにもない。
有名な坂本龍一のテーマ曲は、オープニングから畳み掛けるように流れる。導入部がいかに重要かを知り尽くした監督の手腕が冴える演出だ。
人間愛と戦争の狂気。理屈で理解するのではない、映画ならではの表現がここにはある。
ちょっと他では観ることのできない異彩を放つ作品だ。
原題 戦場のメリークリスマス ／ MERRY CHRISTMAS, MR. LAWRENCE
製作国 日本
製作国 イギリス
製作 シネベンチャー・プロ
製作 レコーデッド・ピクチュアー・カンパニー
製作 大島渚プロ
製作 テレビ朝日
配給 松竹富士
監督 大島渚 Oshima Nagisa
原作 ローレンス・ヴァン・デル・ポスト Laurens van der Post
脚本 大島渚 Oshima Nagisa
脚本 ポール・メイヤーズバーグ Paul Mayersberg
撮影 杉村博章 Sugimura Hiroaki
美術 戸田重昌 Toda Shigemasa
編集 大島ともよ Oshima Tomoyo
音楽 坂本龍一 Sakamoto Ryuichi
出演 デヴィッド・ボウイ David Bowie
出演 坂本龍一 Sakamoto Ryuichi
出演 ビートたけし Beat Takeshi
出演 トム・コンティ Tom Conti
出演 ジャック・トンプソン Jack Thompson
出演 内田裕也 Uchida Yuya
出演 ジョニー大倉 Johnny Okura
出演 室田日出男 Murota Hideo
出演 戸浦六宏 Toura Rokkou
出演 金田龍之介 Kaneda Ryunosuke
出演 三上寛 Mikami Kan
出演 内藤剛志 Naito Takashi