沈黙 -サイレンス-

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公開日 2017/01/21  162分


★★★★★★ 6.0


スコセッシが28年前から企画していたという遠藤周作原作の映画化。
『最後の誘惑』等、昔からキリスト教に関わる作品を作ってきたスコセッシだが、インタビューでは「今だからこそ作る必要があった」と語っている。インタビューアーさん、何故「今こそ」なのかを訊いてくれ。

私は、オープニング、特に劇中の首を跳ねるシーンに引っ掛かった。これは現在のイスラム国の暗喩、一部のイスラム教徒によるテロとアメリカ大統領によるイスラム教排除など世界的な宗教対立をも含めた宗教を元にした争いをも含めた描写なのかな、と。

とはいえ、基本的には個人の宗教観をえぐった作品だと思う。個人の内面は誰にも解らないとも作品は括っている。

密かに妻が十字架を持たせたりする描写は、敢えてされているものの、冒頭近くで形に頼った信仰を危ぶむ台詞もあったわけで、本当のところは観客にも、主人公の内面までは解らないのだ。

どんな苦難に遭おうとも何も応えない、勿論奇跡も起こさない神は沈黙を守ったままだ。
キリシタン弾圧の中で踏み絵を拒み続けた歴史的人物よりも、「転んだ」者たちの内面に目を向けた遠藤周作の眼差しは優しい。それに比べると、スコセッシには淡々としたものを感じる。

描き難い内面描写に対してか、イッセー尾形を始め、日本人キャストにはオーバーアクトを感じる。

今の日本の映画産業の資金力を思う時、このレベルの作品を作るのは、残念ながら難しい、いや無理だろう。
オープニングのキリシタンへの拷問シーンの描写の重厚さを観た時点で資金力の差に呆然とした。今の邦画で、この描写のためにこれだけの資金を注ぎ込むことはあり得ないだろう。
スタッフの力量ではなく、今の邦画のトレンドを見れば分かる現実だ。
だからこそ、せめて本作にはヒットしてもらいたいと思う。

原題  SILENCE

製作国 アメリカ
製作 Cappa Defina Productions
製作 CatchPlay CatchPlay
製作 Emmett/Furla/Oasis Films (EFO Films)
配給 KADOKAWA

監督 マーティン・スコセッシ Martin Scorsese
原作 遠藤周作 Endo Syusaku
脚本 ジェイ・コックス Jay Cocks
脚本 マーティン・スコセッシ Martin Scorsese
撮影 ロドリゴ・プリエト Rodrigo Prieto
編集 セルマ・スクーンメイカー Thelma Schoonmaker
音楽 キム・アレン・クルーゲ "Kim Allen Kluge
Kim Allen Kluge"
音楽 キャスリン・クルーゲ Kathryn Kluge
音楽スーパーバイザー ジョン・シェーファー John Schaefer
音楽監修 ロビー・ロバートソン Robbie Robertson
音楽スーパーバイザー ランドール・ポスター Randall Poster

出演 アンドリュー・ガーフィールド Andrew Garfield
出演 アダム・ドライヴァー Adam Driver
出演 浅野忠信 Asano Tadanobu
出演 キアラン・ハインズ Ciaran Hinds
出演 窪塚洋介 Kubozuka Yousuke
出演 笈田ヨシ Oida Yoshi
出演 塚本晋也 Tsukamoto Shinya
出演 イッセー尾形 Issey Ogata
出演 小松菜奈 Komatsu Nana
出演 加瀬亮 Kase Ryo
出演 リーアム・ニーソン Liam Neeson