神様メール

店舗イメージ

公開日 2016/05/27  115分


★★★★★★ 6.0


神様は妻と息子と娘の4人でブリュッセルのアパートで暮らしている。
妻と子供に横暴で、パソコンで人間を管理しながら悪戯をして毎日を過ごしている。
神は何故、災いや戦争を放っておくのかという普遍的な疑問への答えは「悪戯」なのだ。
物語はこうした神を皮肉った設定で、タッチはあくまでコメディである。

その傲慢な父親に反発した幼い娘(エマ)が、隙を盗んで人間に余命を一斉配信して地上へと逃げ出す。
人間にとっては、神様からメールで余命が知らされるわけである。
地上はパニックとなるが、そんな中で使徒設定かとも思われる6人がオムニバス的に描かれる。
鳥を追って北極まで大冒険に出る会社員。
不死身の美女と巡り合う殺し屋。
ゴリラと恋に落ちる主婦は極端すぎるが。
そして娘を追って地上に下りる神。

私自身がキリスト教徒ではないので理解が及んでいない点は多々あると思われる。
神は言う。
人類すべてが余命を知ってしまったら戦争や争いはなくなる。
神に祈ることもなくなる。
果たしてそうだろうか、と思う。

余命の知ることが、どれだけ神の沽券に関わるのか、神の威信にどれだけ関わるのかが、それがこの親父(神)の地上での行動原理だけに、観ながら凄く気に掛かった。

その親父(神)が地上で「俺は神だ」と、のたまわったらこうなるわな、という鉄板な笑いは当然だが、人間は自分が死なないと判ったら、ビルから飛び降りたりするかは甚だ疑問。
寿命は尽きないにしても、植物状態になるかもしれないし、何より痛いだろう。痛いのは嫌だろう。

長男のJC(イエス キリスト)は、Jean-Claude Van Damme の略ではないとか、細かいネタも満載だ。

コメディではあるが、大事なツボを押さえているのが本作の価値を高めている。
俗っぽい言葉にまみれた親父(神)ではなく、娘のエマが言う言葉に胸を打たれた。
男の子の「死んだら天国に行けるかな」に言葉に、「天国はないのよ。ここが天国なの。」の言葉。
この言葉に対しては、観客によっては反発も当然あるだろう。
生まれ持った病や不遇、場所や家庭の違いはあるものだ。
だが私にとっては、家族を亡くして日が浅いせいもあってか、この言葉が一番心に残った。

原題  LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT

製作国 フランス
製作国 ベルギー
製作国 ルクセンブルグ
製作 Terra Incognita Films
製作 Climax Films
製作 Après le Déluge
製作 Juliette Films
製作 Caviar Films
製作 Orange Studio
配給 アスミック・エースエンタテインメント Asmik Ace Entertainment, Inc.

監督 ジャコ・ヴァン・ドルマル Jaco Van Dormael
製作 オリヴィエ・ローサン Olivier Rausin
製作 ダニエル・マルケ Daniel Marquet
製作総指揮 ジャコ・ヴァン・ドルマル Jaco van Dormael
脚本 トーマス・グンズィグ Thomas Gunzig
脚本 ジャコ・ヴァン・ドルマル Jaco van Dormael
撮影 クリストフ・ボーカルヌChristophe Beaucarne
美術 シルヴィー・オリヴィエ Sylvie Oliv
衣装デザイン カロリーヌ・クーネル Caroline Koener
編集 エルヴェ・ド・ルーズ Herve de Luze
音楽 アン・ピエールレ An Pierle

出演 ブノワ・ポールヴールド Benoit Poelvoorde
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ Catherine Deneuve
出演 フランソワ・ダミアン Francois Damiens
出演 ヨランド・モロー Yolande Moreau
出演 ピリ・グロイン Pili Groyne
出演 ローラ・ファーリンデン Laura Verlinden
出演 セルジュ・ラヴィリエール Serge Larivire
出演 ディディエ・ドゥ・ネック Didier De Neck