バベットの晩餐会

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公開日 1989/02/18  102分


★★★★★★★ 7.0


百年以上も昔の話。デンマークの海辺で敬虔なカトリック教徒達が慎ましく暮らす村が舞台。
神父(牧師)の娘である二人の暮らしは、その貧しさと規律正しい行いから殆ど単調な毎日である。
何十年後と昨日の生活に大きな隔たりはないだろう。
この一見、何もないような村の暮らしの中で、静かにドラマチックな物語を紡いでいく豊かな作品。ハリウッド映画ではなかなかみられない。
主人公は三人。
二人の美しい姉妹に求婚するものはあったが、常に父親に遮られている。そのことに不満を抱くことさえない娘達であったものの、それぞれ心の深くに沈めた出来事はあった。
これが二人の物語。
姉妹が継いだ教会では、慎ましく信仰に満ちた暮らしの一方で、村は貧しく厳しい生活から、醜い噂話のはき溜めのようになっている。
そこへパリ・コミューンで、家族を失い逃れてきたバベットが姉妹の使用人となる。
バベットが三人目の主人公。
バベットは謎に満ちた使用人であったが、どこか「ただ者ではない」感に溢れている。
姉妹が思い立った晩餐会とバベットの宝くじの当選が重なることから物語は大きく展開していく。
ただ者でない流れ者という題材は、西部劇のガンマンや時代劇の素浪人にありがちだが、それを知らなかった周囲の人達が唖然とする展開ではないのが新鮮だ。
一度きりの晩餐会で村人の意識や暮らしがガラッと変わることはない。
日々の暮らしは変わることなく続くのだ。
そんな変わりのない日々の中で振る舞われる1万フランのコース料理は時代背景もあるけれど凄い。
深い悲しみを抱えながらも、与えることと、プロの仕事に徹するバベットと、その意を汲む姉妹。
人生の意義を考えさせられる深い作品だ。
ウズラ料理は生きたまま仕入れるので、ちょっとビックリ。

原題  BABETTE'S FEAST

製作国 デンマーク
製作 A-R・パノラマ・フィルム
配給 シネセゾン

監督 ガブリエル・アクセル Gabriel Axel
原作 カレン・ブリクセン Karen Blixen
脚本 ガブリエル・アクセル Gabriel Axel
撮影 ヘニング・クリスチャンセン Henning Kristiansen
音楽 ペア・ヌアゴー Per Norgard

出演 ステファーヌ・オードラン Stephane Audran
出演 ビアギッテ・フェダースピール Birgitte Federspiel
出演 ボディル・キュア Bodil Kjer
出演 ビビ・アンデショーン Bibi Andersson