
公開日 2014/12/20 96分
『サードパーソン(THIRD PERSON)』というタイトルから『第三の男(THE THIRD MAN)』を連想してしまったが、内容はまったく関係なかった。
本作は、TVCMはもとより、宣伝は殆んどされてない。いや、昨今の映画のヒット動向から言えば、DVDスルーでもおかしくないと思う。
このキャストとスタッフでさえ、だ。
「ハリウッド絶対!」とは思わないが、他の公開作を見てみると、思考不要で同じような作品が並んでいる。今の日本の映画産業の薄っぺらさを感じずにはいられない。
さて本作は、ハリウッドでも"作家"を感じさせる映画が減っている中で、数少ない映画作家、ポール・ハギスの作品だ。
前作『スリーデイズ』では脚本のお手本を見せつけ、前々作『告発のとき』ではアメリカの暗部を抉り出した社会派だ。
物語は『クラッシュ』風に、3つの物語が並行して語られる。
国も職業もまったく違う物語に、観客はそれぞれがどう繋がっているのかを考えずにはいられない。
そのヒントとなる伏線は幾つもある。ふいに聞こえる「Watch me」という言葉。勘のいい観客はこの言葉を聞く人物それぞれの正体に気づくだろう。
作家である主人公に対して編集者が言い放つ「お前の作品は過去の言い訳(贖罪)ばかりだ」は作品全体を言い表している。
それぞれ3つの物語はドラマチックで興味深い。個人的にはエイドリアン・ブロディとモラン・アティアスのパートが好みだ。
それぞれは解り難い展開を見せているようで、至る帰結はそうでもない。
映像での説明もどちらかといえば過分なくらいだと思う。もっと想像を逞しくさせる説明でもよかったかも。
登場人が「え?そこに居るの」と思わせる、意外な場面展開や、「これは現実ではないな」と思わせるイメージ的で印象的なシーンもあって、映像作家としてみても面白くなってきていると思う。
社会的に上流と思われるそれぞれが、深い挫折や苦悩を抱えているのは、ポール・ハギスらしい題材で、その表と裏、光と影の描写は真骨頂とさえ思える。
脚本に溺れがちと思える地味な作品ではあるのは否めないが、脚本に凝った作品は好みだ。
じっくりと内容を深く考えさせられ、見終わった後もなお解釈を楽しめる作品であった。
原題 THIRD PERSON
製作国 イギリス
製作国 アメリカ
製作国 ドイツ
製作国 ベルギー
製作 Corsan Corsan
製作 Hwy61 Hwy61
製作 Lailaps Pictures
配給 プレシディオ PRESIDIO CORPORATION
配給 東京テアトル Tokyo Theater
監督 ポール・ハギス Paul Haggis
製作 ポール・ブレラス Paul Breuls
製作 ポール・ハギス Paul Haggis
製作 マイケル・ノジック Michael Nozik
製作総指揮 ニルス・ダンカー Nils Dunker
製作総指揮 アルカディー・ゴルボヴィッチ Arcadiy Golubovich
製作総指揮 アンドリュー・デヴィッド・ホプキンス Andrew David Hopkins
製作総指揮 ティム・オヘア Tim O'Hair
製作総指揮 ガイ・タナヒル Guy Tannahill
製作総指揮 アナトール・トーブマン Anatole Taubman
脚本 ポール・ハギス Paul Haggis
撮影 ジャンフィリッポ・コルティチェッリ Gianfilippo Corticelli
プロダクションデザイン ローレンス・ベネット Laurence Bennett
衣装デザイン ソヌ・ミシュラ Sonoo Mishra
編集 ジョー・フランシス Jo Francis
音楽 ダリオ・マリアネッリ Dario Marianelli
出演 リーアム・ニーソン Liam Neeson
出演 ミラ・クニス Mila Kunis
出演 エイドリアン・ブロディ Adrien Brody
出演 オリヴィア・ワイルド Olivia Wilde
出演 ジェームズ・フランコ James Franco
出演 モラン・アティアス Moran Atias