誰も守ってくれない

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公開日 2009/01/24  118分


★★★★★ 5.0


犯罪の加害者保護の実態を映し出すこと、興業へ結びつかないリスクを取ってでも公開に運んだ製作陣は勇気があると思う。
同様のテーマとしては『手紙』を思い出したが、それに応えるだけの社会的意義は感じたし、感動もした。

だが、「それはないだろう」的な粗が見え隠れするのが辛い。
いくら何でも加害者家族を、別の事件の被害者家族の家に匿うのはありえない。
「行くところがない」って、ビジネスホテルでも、どこでもあるだろう。
そもそも刑事の家族全員で被害者家族の家に行くのも信じ難い神経だ。
柳葉の「あんたの顔なんて見たくもない」というのが実際のところなのかもしれないのだ。

物語の核心部分の信憑性が薄れてしまうと、作品の至るところが疑われてしまう。
加害者家族がどのように扱われるのかを畳み掛けて見せる演出は、知らないだけに驚きの連続であったが、「どうだ、知らないだろ」的に見せられている気がしてくるものだ。

そもそも主人公をあまりにも無垢に見せるオープニングもやり過ぎっぽく感じられてくる。
インターネットを媒介とした悪意の表現は、あまりにも既視感が強く、「踊る」シリーズの焼き直しにも見える。
他の表現方法はなかったのだろうか。

加害者家族の扱いについて問題提起はしているが、作品としての意見は見られない。
とはいえ、やり場のない苦しみや過酷な現実について深く考えさせられる作品ではあり、それらに直面した者を演じた出演者たちもいい演技だったと思う。
特に志田未来はよかったと思う。
知らない現実を観ることは、それだけでも損した気分にはならない。

原題  誰も守ってくれない / NOBODY TO WATCH OVER ME

製作国 日本
製作 フジテレビジョン
製作 日本映画衛星放送
製作 東宝
配給 東宝

監督 君塚良一 Kimizuka Ryouichi
製作 亀山千広 Kameyama Chihiro
プロデューサー 臼井裕詞 Usui Yuji
脚本 君塚良一 Kimizuka Ryouichi
脚本 鈴木智 Suzuki Satoshi
撮影 栢野直樹 Kayano Naoki
美術 山口修 Yamaguchi Osamu
編集 穗垣順之助 Hogaki Junnosuke
音楽 村松崇継 Muramatsu Takatsugu
主題歌 リベラ Libera

出演 佐藤浩市 Sato Koichi
出演 志田未来 Shida Mirai
出演 松田龍平 Matsuda Ryuhei
出演 石田ゆり子 Ishida Yuriko
出演 佐々木蔵之介 Sasaki Kuranosuke
出演 佐野史郎 Sano Shirou
出演 津田寛治 Tsuda Kanji
出演 東貴博 Azuma Takahiro
出演 冨浦智嗣 Tomiura Satoshi
出演 木村佳乃 Kimura Yoshino
出演 柳葉敏郎 Yanagiba Toshirou